世界で最初に設計し発売されたBioKite
「バイオカイト」は2001年12月20日、クリスマスの押し迫った時期に日本で発売され、すぐさまテレビやラジオ、新聞、雑誌などで取り上げられました。
三菱電機の研究所長、専務取締役を歴任された伊藤利朗(いとう・としお)博士は、バイオカイトを発想し設計された先駆者です。大変残念ですが、御逝去の知らせがありました。
大変なアイデアマンで、数多くの新技術の開発を指導された楽しい方でした。
著書
「凧の科学」(小学館)
「論語を読む」(かんき出版)
「ヒット商品のコンセプト創り」(日刊工業新聞社)
ネット革命が創る21世紀の新市場
(日刊工業新聞社)
「カラスもびっくりバイオカイト」(講談社) など多数
ここでは、凧の飛行に係る事柄のみご紹介して、ご冥福をお祈りします。
BioKite Brings Japanese Kite Craze To U.S. Just in Time for Father’s Day and Summer Kick-Off; First Collectible ‘Kites on a Fishing Pole’
Now Offered in U.S. Online ,Business Wire
May 28, 2003 10:05
BioKites are designed by a Japanese dad and engineer and, unlike typical kites, use aerodynamic principles to create lift and eliminate air resistance. So, BioKites can fly in light winds and immediately go upwards, which means anyone can fly them, even city flyers with access only to smaller open urban areas and parks.
BioKite honors the bond between science and nature by applying aeronautic technology to amazingly life-like and life-sized kites shaped like animals, birds and butterflies. To celebrate summer and Father’s Day, the company offers its easiest-to-fly Seagull and Falcon models, with advanced designs to be added to the line later.
お持ちのノートPCに、ご自身で作成した凧の設計・安定性解析のシミュレーションソフトを導入して様々な高度なダイナミクスの設計シミュレーションをなさっていました。
上記サイトに、あります。
こだわる探究心はとどまる所を知らず!
「やり残した『従来の凧の欠点をなくすための理論の構築』を20年ほど放置していた。これを本気で始めたのは、会社専務取締役の激職を退いて顧問になった1997年からである。」
とのことです。この頃にお会いしています。
「今度は(飛行)理論をより完全なものにしたい。そのためには、飛行機の理論である航空力学を勉強し、加藤寛一郎先生他の書かれた「航空機力学入門」(東京大学出版会)を読んでいるときにバイオカイトを思いついた」
とのことで、その後、シミュレーションソフトを作ったのであろう。
新コンセプトはバイオカイト
BioKite バイオカイトの発明
凧も飛行機と同じように水平尾翼をしっかり付ければ、失速状態で風圧を利用して揚がる伝統凧ではなく、飛行機と同様に揚力を利用して真上に揚がるものができるはずだ。こうなれば、飛行機の理論が応用でき挙動が完全に解析できる。糸も突風による引張りを逃すようにすれば、強風下でもミシン糸のような細い糸が使えるので、伝統凧のように水平方向に遠くに流されることなく真上に揚がる」。 さらに「最近はパソコンとプリンターが普及しているので、凧の形も鳥や蝶・魚・動物の顔をパソコン上で描いて、プリンターで印刷すれば美しい形や画の凧が作れる。これを飛ばして自分の力作を人と競い合うことは、楽しいことに違いない。また、理論は物理学の広範囲の専門分野を含むので、凧を実験モデルとした絶好の教材になる。さらに鳥の凧を飛ばすと鳥が攻撃に来たり偵察に来たりする形で、鳥と遊ぶことができる。鳥や蝶の飛ぶ原理を知れば、学生は自然に畏敬の念をいだき、環境問題を考える一助にもなる
とお考えになった。
自然を愛する伊藤さんは、力学系の一例として凧は、教育にも役立つとの信念から取り組まれたのでした。
このコンセプトをもとに、飛行理論と新材料を利用した凧の作り方を多くの友人の協力を得て練り上げたのが、バイオカイトとのことである。
この新しいカイトは熱力学以外のすべての理科の要素をもっている。ぜひ、理科教育に役立ててほしい
伊藤博士