福島原発その5:放射能の空中飛散対策と地下流出対策は峻別すべき

空中飛散対策は、使用済み燃料プールや施設内粉じんに対する対策であり、地下流出対策は原子炉の炉心からの放射性物質の漏洩対策である。前者は広域低濃度であり、後者は局所高濃度であり、放射性物質の核種の構成比率もことなる。空中飛散対策を早く進めることで、早期の帰宅や農業・飲料水被害の低減ができるので、早期の実行を期待する。
これまでの分析から、空中への放射能の飛散は、主として使用済み燃料プールの火災によるものが大きく、格納容器など原子炉の蒸気によるものはさほど寄与していないものと考えている。その証拠は11日から16日の間の周辺放射線量と使用済み燃料火災の関係からわかる。その後のプールからの蒸気の激減により、最近の福島市など中通りの放射線量は、ほぼヨウ素の半減率の通り、等比級数的に減少している。朗報である。一方、最近の牛肉などの汚染は、放射性同位体を含む草を食べることで蓄積しつづけたものであり、もう少し長引く可能性はある。
最大の問題は、炉からの流出であるが、これは地震による冷却水喪失事故で、その後の冷却のための炉心への注水により、高濃度汚染水が継続している。すなわち、減少は期待できない。別途の深刻な問題であり容易には解決しそうもない。
放射性物質には2種類のものがある。ひとつは燃料棒のなかにあるウラニウムと分裂してできた放射性セシウムと放射性ヨウ素など。もうひとつは燃料棒の外で生成した放射性物質だが、これらは数秒のうちに放射能を半減させ、すぐに危険な物質ではなくなる。放射性の窒素やキセノンガスなどがこれにあたる。
福島原発から流出した放射性物質の発生と周辺放射線量の因果関係から見て、広域の放射線量の問題への対応策と原子炉周辺の放射性物質の漏洩対策は異なってくるのではないか?。現在、漏洩した水の放射線量が高いことから、長期化を言う向きがあるが、空中への飛散問題とは、峻別すべきである。原因が異なれば対策も異なる
あまり明確な分析と対策がないので、ここで原因と対策を考えてみる。
広域の放射線量の問題:避難と農業被害などの今後
広域の放射線量の問題は上空への放射性物質の飛散問題であり、この原因は、連続した蒸気爆発と使用済み燃料プールの火災などによるものであろう。(この点については、明解な分析がいまだに報告されていないが、本記事その1~その4で容易に推定できる。)参考:放射線量の推移と分析
空中の放射性同位体は、崩壊し安定化するのが早い。
31日現在、使用済み燃料プールの火災はおさまり、プールの注水によって水位も安定しているようである。蒸発に伴う空中への飛散は測定値からみて非常に少ないので、今後、上空への飛散が抑えられるなら、飛散した放射性同位体の発する放射線は、ヨウ素などは半減期からみて、1か月で1/16にも減少する。
原因がプールならば、今後は、空中に飛散したものが雨で降りてくるリスクも大幅に減少する。
とすれば、農業の葉物野菜の放射線量は減少、早期に30kmの避難措置などが解除されるのを期待できるのではなかろうか。
農業被害の拡大が懸念されるが、常時観測により早期に解除される可能性に期待する。
その後の、20km圏の避難地域であるが、放射線量は減少するであろうが、避難解除に至るには、こちらは「原子炉の安定的冷却」が確保されないと難しいかもしれない。
最終的には、燃料プールも遮蔽措置がなされるであろうが、蒸気が発生しているので、換気も含めて、完全な密閉は難しいが、飛散は安定冷却で激減するので、できるだけ早く30~20km圏の避難解除を期待したい。
原子炉周辺の放射性物質の漏洩対策
こちらは、プールでなく炉内からの漏洩問題である。
現在、水たまりとトレンチに漏洩した放射性物質が問題になっているが、これはなんらかの経路を伝って、損傷した格納容器の配管系などから漏洩した炉内の放射性物質であり、高濃度である。
炉の圧力と温度を安定的に制御できるためには、電源+水+給水ポンプの給水系の修繕あるいは再配置が必要であるが、漏洩水が大量であることからその廃棄問題もあり、難航している。安定化できれば、爆発による大量漏洩のリスクが無くなる。
20km圏の避難が解除されるには、数か月以上かかるのではなかろうか?。
空中への飛散最小化対策と地下・海への漏洩対策は全く異なると思われるので、ここに問題提起しておく。
作業に携わる皆さんの健闘に感謝し、避難されている方々の健康を祈りながら・・・。
補償の行方:枝野発言の認識不足と間違い
枝野幸男官房長官の発言がブレている。
・21日夕の記者会見:出荷停止指示に関して
「(補償は)まず東電が責任を持ち、それができない場合は、国が責任を持つ」
・25日午後の記者会見:巨大な自然災害などの場合に電力会社を免責する原子力損害賠償法(原賠法)の例外規定が福島第1原発の事故で東京電力に適用される可能性について「社会状況からありえない」と明言した。
原賠法では「異常に巨大な天災地変または社会的動乱」の場合は、原子力災害に対する東電など原子力事業者の賠償責任を免除し、国が負担する免責条項を定めている。
政府内には当初、今回の地震と津波は「未曽有の大災害だ」として免責を適用することも検討したが、各地で放射性物質の検出が相次ぎ、東電が賠償責任を免れるのは「国民感情からも受け入れられない」と判断したとの報道である。
公正な電力供給をどう考えるか?。政治が混乱している。
電力の供給について、東電は供給義務を負っている。全額、(国民感情から?)東電に負担させるということになれば、電力料金はその総括原価の上昇で、電力料金は跳ね上がってしまう。なぜならば、廃炉費用、補償費に加えて、供給義務を果たすための設備・燃料の増強コストも膨大である。
東電の味方をするつもりは、全くない。しかし、このような公共料金は、東電管内だけが他地域の2倍などといった類のサービスは許されるはずもない。
この1点で、枝野発言は間違っている。「社会状況(?)からありえない」など、子供のような判断は、被災規模にもよるが、いずれ是正せざるを得なくなるのでは?
既に、風評が発生し、電力債による復旧を困難にし、東電の市場価値は暴落している。
公共サービス、ライフラインの意味も判らず、原子力損害賠償法(原賠法)の例外規定の精神が判らないようでは、政治と行政の混乱が続くものと思われる。

43 thoughts on “福島原発その5:放射能の空中飛散対策と地下流出対策は峻別すべき

  1. 1~4号機の水位

    産経新聞 4月1日(金)13時22分
    1.4号機では使用済み核燃料プールに対し、コンクリート圧送機による注水が行われた。
    2.東電は同日、汚染水の水位をチェックするための監視カメラの設置も行う。高濃度の汚染水がたまっている2号機のタービン建屋地下と、1~3号機の「トレンチ」と呼ばれるトンネルに監視カメラを取り付ける。
    (コメント)
    炉内の水位と燃料プールの水位が重要です。
    水位があれば、蒸発量も少なく、蒸気による放射性物質の空中放出も、わずかか。
    水位、温度、圧力は最重要情報である。
    28日のasahi.comの記事では、
    「1~3号機いずれでも、圧力容器の水位計の数値は思うように上がっていない。東電は28日未明の会見で、注水しても圧力容器が満杯にならない原因を、「(圧力容器の)下の方に穴が開いているイメージだ」と認めた。穴が開いた理由は「わからない」という。」
    「福島第一原発の圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄でできており、底部には、計測装置などを外部から差し込む貫通部などがある。その周辺から漏れている可能性が考えられる。
    東電は、水面から露出した核燃料が過熱して損傷した可能性を認めている。」

  2. 容器損傷:注水しても水位上がらず?

    原子力安全委員会は容器の損傷の可能性に31日午後の記者会見で言及。
    圧力容器は簡単にひびが入ったり、割れたりすることはないとされている。ただ燃料棒の真下の部分には核反応を抑える制御棒を出し入れするための穴があり、溶接部は弱い。経済産業省原子力安全・保安院は30日の会見で「制御棒を出し入れする部分が温度や圧力の変化で弱くなり、圧力容器から(水などが)漏れていることも考えられる」との見解を示した。
    圧力容器自体が損傷すれば、冷却のための水を入れても水位が上がらず十分に燃料を冷やしきれないうえ、本来の冷却装置を動かすことができても、十分に冷却水が循環しない恐れもある。
    (コメント)
    今回の事故は、「全電源停止による自動冷却機能喪失事故」であった。だから、外部から注水した。
    今回の報道から、「圧力容器損傷による内冷却材の喪失事故」の可能性が高くなった?
    これでは、注水しても冷却を十分できず、放射性物質が流出しやすい。地下の汚染水は、20トンの燃料が放熱しながら、いつまで出るのでしょうか?

  3. プールは水あり:安定

    4月2日10時43分 読売新聞
    米エネルギー省のスティーブン・チュー長官は1日、福島第一原発の使用済み核燃料プールの状態について、「1号機から4号機まですべてのプールに水があると考える」と述べ、安定しているとの見解を明らかにした。
    チュー長官は「すべてのプールで温度計測ができ、(数字は)中に水があることを示している」と述べた。

  4. 科学技術者の見解:炉内は不安定!!

    4月2日01時42分 読売新聞
    田中俊一・元日本原子力学会長をはじめ、松浦祥次郎・元原子力安全委員長、石野栞(しおり)・東京大名誉教授ら16人。
     同原発1~3号機について田中氏らは「燃料の一部が溶けて、原子炉圧力容器下部にたまっている。現在の応急的な冷却では、圧力容器の壁を熱で溶かし、突き破ってしまう」と警告。また、3基の原子炉内に残る燃料は、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る放射能があり、それをすべて封じ込める必要があると指摘した。

  5. チェルノブイリ責任者の指摘

    チェルノブイリ作業責任者:ユーリ・アンドレエフ氏
    産経新聞の電話インタビューより
    -チェルノブイリで得た教訓
    「ヘリから放水したり原子炉の下に穴を掘ったり無意味な作業に追われた。原子炉内に核燃料があるのかを知りたかったが、実際はすでに溶け出して残っていなかった。ソ連当局は事故の原因と規模を隠し、状況を悪化させた。」
    「50人は少なすぎる。5千人以上を投入すべきだ。特別な防護服を着用してもガンマ線を浴びたり、プルトニウムを吸引したりする危険性がある。」
    (状況はなぜ悪化しているのかに対し)
    「東電の情報が不正確で不足しているからだ。(企業というものは)会社の利益を優先して行動するので作業から外す必要がある。幅広い知識を持つ経験豊富な技術者を日本中から集めて特別チームを編成し、作業に当たらせるべきだ」

  6. まだ水素爆発のリスク有り!

    2日13時09分 読売新聞
    東京電力は2日、福島第一原子力発電所で再び水素爆発が起こるのを防ぐため、原子炉の格納容器内に窒素を充填(じゅうてん)する検討に入った。
    原子炉の熱を取り除く冷却システム用の海水ポンプには同日、外部電源がつながった。炉心への注水ポンプに外部電源をつなぐ作業も同日中に完了させる計画だ。窒素の充填は1~3号機などが対象。
    (コメント)
    圧力容器や格納容器の損傷があるので、窒素を充填しても、窒素ガスが漏れ出すことも考えられる。

  7. 地下の立て抗にヒビワレ

    2号機の取水口付近で、立て坑(ピット)の亀裂から放射線量の強い汚染水が海に流れ出た問題で、東京電力は2日、流出源とされる立て坑と、汚染水がたまっている作業用トンネル(トレンチ)がつながっており、汚染水が流れた可能性があると発表した、東電は同日午後、立て坑にコンクリートを注入した。
    (コメント)
    立て抗はは電源ケーブルの点検用に設けられたものですから、点検して判っていたのでは???。
    ここだけで有って欲しいが。他の立て抗は調べたか??

  8. 原発の耐震指針を超えるゆれだった。

    東京電力は一日、東日本大震災の発生時に福島第一、第二原発の地震計が観測した記録(暫定値)を公表し、第一原発2、3、5号機で耐震設計の基準値(最大応答加速度値)を上回る揺れがあったと発表した。原発の耐震指針は二〇〇六年に全面改定されたが、新指針でも地震に対する安全性が不十分な可能性が出てきた。
    (コメント)
    地震直後に加速度ガルはわかっていたはずですが、何故、いまごろ???。
    原子力安全委員会が指針を作るので、委員会にも報告したはずですが????。

  9. 1号機の地下水も深刻!

    東京電力は三十一日夜、福島第一原発1号機のタービン建屋付近の地下水から、法令で定める濃度限度の約一万倍の放射性ヨウ素131を検出した、と発表した。地下水の汚染が確認されたのは初めて。
    東電によると、1号機の地下水のヨウ素131の濃度は一ミリリットル当たり四三〇ベクレル。2号機の地下水は八〇ベクレル、3号機は二二ベクレルだった。東電は「非常に高い値と認識している。大気中の放射性物質が雨で地面に落ち、地下に染みこんだ可能性がある」としている。
    (コメント)
    立命館大の安斎育郎名誉教授(放射線防護学):「海水の濃度もここ数日で急速に高まっていることもあり、原子炉圧力容器の底に穴が開いているなど、何か異変が起きているかもしれない。由々しき事態だ。」
    2号機は原子炉格納容器につながる圧力抑制プールが爆発で損傷している。1号機は12日午後3時36分頃、ドーンという大きな爆発音とともに白煙が上がり、原子炉建屋が骨組みを残して吹き飛んだ。
    コアコンクリート反応が起きてなければ良いが??

  10. コンクリート強度?

    地下水汚染はコンクリートの強度不足の場合もある。
    東京電力は平成十六年十月二十二日に提出された福島原発のコンクリートのアルカリ骨材反応性に係る調査報告書の内容を踏まえ、保安院において、同年十一月十一日と十二日に現地調査を実施し、同日、東京電力に対し、保安院又は第三者の立会いのもと、両発電所のすべての原子炉に係る主要な建物及び構築物のコンクリートから試験体を採取し、促進膨張試験及び圧縮強度試験を第三者に委託して早急に実施するよう指示したという記事があった。
    (コメント)
    強度試験では、どのような結果だったか?。強度不足では?

  11. 1号機圧力容器に損傷?

    1号機は、3月12日 14時20分のニュースで
    水位低下–>燃料棒露出–>発熱・溶融(燃料棒)–>周辺監視区域でのセシウム検出
    が起きていました。
    この時に、冷却水喪失から炉心溶融が発生しているのでは?
    水位が上がらず、格納容器内の圧力は7.54気圧にもなっている。圧力容器と格納容器の配管損傷が発生か?
    (コメント)
    3.24 11:52
    枝野幸男官房長官は24日午前の記者会見で、東京電力福島第1原発の1号機から上がった煙について「燃料プールに水が入り冷却する中で、一定の水蒸気が外に出ることはある。圧力容器に損傷は出ていないと報告を受けている」と強調しているが???
    その後
    敷地内の土壌から、毒性の強い放射性物質のプルトニウムが検出された問題で、枝野幸男官房長官は29日午前の記者会見で、核燃料や格納容器が損傷している可能性があるとの認識を示した。

  12. 地下水汚染ルートが問題

    東電は、〈1〉原子炉などに放水・注水して、放射能で汚染された水〈2〉大気中に飛散した放射性物質を含む雨水〈3〉タービン建屋の地下にたまった汚染水〈4〉建屋の外の作業用トンネル(トレンチ)にたまった汚染水――が地面にしみ込んだ可能性があると見ている。
    4月2日01時47分 読売新聞
    (コメント)
    地下水が海に漏れ出ている。高濃度の成分からみれば、<2>ではなかろう。使用済み燃料プールも溶融までには至っていない。とすれば、原子炉圧力容器、格納容器の損傷部分から流れ出した水が、コンクリートの亀裂を通って地下水になったと見るべきではなかろうか。
    地震によって、原子炉建屋・タービン建屋の地下コンクリートの亀裂からの漏出が起きているならば、対策域は広がる。

  13. ようやく始まる空中飛散対策!

    03月30日 20:15
    政府は30日、福島第1原発の施設内のがれきや土壌に付着した放射性物質を含むほこりやちりが飛び散るのを防ぐため、原発敷地内に特殊な合成樹脂を散布する方針を決めた。31日に試験散布を開始し、効果があれば敷地全体で散布する。
    損傷した建屋を特殊シートで覆って放射性物質の拡散を防ぐ案も浮上したが、シート作成には1~2カ月間かかり実現は微妙。枝野幸男官房長官は30日の記者会見で「あらゆる可能性を検討している中の選択肢だ」と述べるにとどめた。
    (コメント)
    広域での放射線量を減らし、飲料水や農業被害の低減のためには飛散対策こそ重要。気づくのが遅すぎる。何故、プールの火災等や粉じんによる飛散対策が後回しになっているのか?。地下の汚染水対策よりも早く着手できたはず。

  14. 4号機建屋で高濃度汚染水!

    4月2日21時50分 読売新聞
    東京電力は2日、福島第一原発の4号機原子炉建屋の1階と地階を結ぶ階段付近から、高濃度の放射性物質を含む水が見つかったと発表した。水表面の放射線量は毎時100ミリ・シーベルトほどと高く、作業への影響が懸念されている。汚染水が見つかったのは3月31日。本来の冷却システムの再稼働を目指し、原子炉建屋内で作業をしていたところ、階段の踊り場で発見した。量や分布は不明。
    (コメント)
    4号機の火災こそが、空中飛散による飲料水や農業など広域汚染の主な原因である。(詳細は本文)ここには、大量の燃料が格納され、使用済みのものだけと思っている人も多いが、使用前のものもある。格納容器のない状況なので、極めてリスクが高い。(米国は特に注目)プールに水があるので安定と報じられているが、最近でも、時折、白煙が上がっている。空中飛散対策が重要である。

  15. 放射性物質拡散予測は連日実施・非公開?

    4月4日14時30分 読売新聞
    「東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。」
    欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。
    (コメント)
    技術はあるにのに開示しない。税の無駄づかい。
    ロボット技術も汚染発生量・発生源の検知技術もあるのに炉の東電のマネージメントに生かされていない。民需には強いが公的設備投資は、極めて特殊である。

  16. 地下流出経路がわかった!

    東京電力福島第一原子力発電所2号機の取水口付近から、高濃度の放射性物質を含む汚染水が海に流れ出している問題で、東電は5日、電源ケーブル用作業トンネルの下に敷かれた砕石層が流出経路と、ほぼ特定した。電源トンネルは、作業用トンネルとつながっている。
    (コメント)
    格納容器からの全ての流路が判った?

  17. 原子力政策見直しか?

    内閣府原子力委員会(近藤駿介委員長)は5日、東京電力福島第一、第二原子力発電所の事故を受けて、国の原子力利用の長期計画をまとめた「原子力政策大綱」の改定作業を当面の間、中断することを決めた

  18. 燃料の損傷度合い

    6日13時59分 読売新聞
    東京電力は6日、福島第一原発1~3号機の格納容器内の放射線計測値を正式に発表。燃料に小さな穴や亀裂が生じた割合を計算すると、
    1号機では燃料集合体400体の約70%が損傷
    2号機は同548体の約30%、
    3号機は同548体の約25%
    が損傷したとみられる。
    (コメント)
    やはり、1号機は地震と同時に圧力容器の管路が損傷し、水漏れ、空炊きになって、燃料が損傷したようです。
    全電源停止事故に冷却水喪失事故という複雑骨折のようです。地下の汚染水濃度も最も高い。

  19. 奇妙な被爆限度量の引き上げ?

    枝野官房長官は466日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、「年間1ミリ・シーベルト」と定めている一般人の被曝限度量の引き上げを検討するよう、原子力安全委員会に指示したことを明らかにした。
    原子力安全委員会は、放射線量の高い地域の住民の年間被曝限度量について、現在の1mSvから20mSvに引き上げることを検討している。
    (コメント)
    安全基準は、基準ですから、政治的な理由で引き上げる(基準を危険側でもよいとする)のは、奇妙!!
    これまでの基準は、なんらかの医学的見地から決められたはずでしょうに?。日本だけが、かけはなれて世界より厳しかったならば、まだしも??。
    今回は、炉の設計基準にしても、基準を超えても、まだ余裕があるから大丈夫など、医者やエンジニアから見れば奇妙な論理が多い。政治が、科学的成果を尊重しない風潮が出ている。

  20. 被爆の安全基準とは?

    発がんのリスクは線量に比例して直線的に増加する」(これを「しきい値なしの直線モデル」という)と報告されていました。しかし、これまでこのモデルに関して、一方では放射線の影響を過大評価するとされ、他方では過小評価であると批判されてきました。調査委員会は、低線量放射線でもDNA等に損傷を与え、最終的にはがんを引き起こす原因になりうるという基礎的データの積み重ねなどを考慮し、「しきい値なしの直線モデル」が最も妥当としています。
    発がんのリスク推定
     「しきい値なしの直線モデル」によって放射線被ばくのリスクを推定し、もし、100人の人がそれぞれ100mSv被ばくするとその中の1人が被ばくによる白血病ないし固形がんになる可能性があるとしています。42人は他の原因で白血病ないし固形がんになる可能性があります。(これらのがんの内、50%が致死性)。
    100mSv:放射線作業従事者の5年間の被ばく限度
    日本の公衆の年間被ばく線量限度は 1mSv、胸のX線撮影は0.1mSv、
    アメリカの自然放射線レベルは3mSv
    内部被爆は無視されている。X線撮影などの外部被ばくと、今回の水や空気や葉物野菜の摂取による被ばくは異なるが混同が過ぎる。

  21. 復興財源に個人金融資産活用??

    経済同友会の桜井正光代表幹事は6日の記者会見で、夏場の電力不足を回避するため、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の休止炉を早急に再稼働するべきだと指摘。
    復興財源に充てるため、子ども手当など民主党のマニフェスト(政権公約)に基づく予算の凍結も要請した。約1400兆円の個人金融資産を活用することも提案し、利子を非課税とする政府保証付きの「復興基金債」の発行も提案した。
    (コメント)
    個人金融資産1400兆円というが、既に預金などされて、融資済み。例えば、郵貯から引き出されば、郵貯の85%が国債で運用されているので、国債が売られて安く(暴落=国債の金利up?)なり、復興基金債に変わるだけでしょう。政府保証を付ければ、財投債と同様の公的債務で、国債の一種。
    利子を安くする効果を狙って、市場金利を捻じ曲げるのか??

  22. 積算値20ミリSvで避難地域に

    原子力安全委員会は6日、東電福島第一原発から20~30キロ・メートル圏内や30キロ・メートル以遠でも、放射線量の積算値が20ミリ・シーベルト程度に達する可能性が出た場合に、避難地域とすることが望ましいとする見解を示した。原発の北西では30キロ・メートル以遠でも高い放射線量が測定されるなど、場所によって放射線量が大きく違い、屋内退避の長期化で生活に不便が強いられることから、枝野官房長官は3日、避難地域の指定を見直す考え。
    (コメント)
    避難地域の指定のための基準見直しでした。

  23. 第1と第2の明暗は設計基準に!

    福島第2原発は、原子炉の冷却水を海水で冷やすシステムが正常に働かなくなるなどのトラブルがあったが、大きな事故には至らなかった。福島第二では受電設備が機能しており、外部電源の一部が生きていた。
    福島第二では、3号機が地震発生の翌日の12日に、残る1、2、4号機も14~15日に原子炉内の温度が100度未満の「冷温停止」となり、安全が宣言された。
    全電源喪失に至らなかった最大の理由は、
    1. 非常用ディーゼル発電機などが気密性が高い原子炉建屋内にあり、機能を維持。
    2.原子炉の残留熱を除去するための海水をくみ上げるポンプが、海に近いポンプ建屋の中にありむき出しでなかった。
    この2点の違いによる。要は、津波のよる電源・ポンプの機能喪失を防げるよう設計されていたか否かの基準の問題か。

  24. 水素爆発は想定外?

    4月8日22時27分 読売
    1号機で3月12日、3号機では同14日に、格納容器のさらに外側の原子炉建屋で、水素爆発が起きた.
    保安院側は「設計上は格納容器から水素が漏れないようになっている。国の安全審査でも、漏れてしまったらどうするかという設計上の手当てはされていない」と認めた。

  25. 米の80キロ避難勧告は2号機の想定だった。

    米国メディアによれば「米原子力規制委員会(NRC)の安全責任者ランディ・サリバン氏は7日に開かれたNRCの諮問委員会で、情報不足のため原子炉の状態が把握できず、「2号機の炉心が100%損傷して16時間にわたって放射性物質の放出が続く」という場合を想定し、避難範囲を計算したことを明らかにした。原発での測定データは使わなかった。」
    4月9日00時37分 読売

  26. 最悪の「レベル7」に!

    原発事故の深刻度を示す「国際原子力事象評価尺度(INES)」の暫定評価は、放射性同位体の外部への放出量で決まる。これまでに放出された放射性物質の量を、推定される原子炉の状態から計算した結果、「7」の基準である「数万テラ・ベクレル以上(テラは1兆倍)」に達した。
    4月12日保安院の発表
    保安院の発表によると、3月11日から4月12日午前11時までに大気中に放出された放射性のヨウ素131とセシウム137の総量を、原子炉の状態から推計したところ、ヨウ素の量に換算して37万テラ・ベクレルに達した。内閣府原子力安全委員会も12日、周辺で測定された放射線量をもとに推計したヨウ素とセシウムの大気への放出総量は、3月11日から4月5日までで63万テラ・ベクレル(ヨウ素換算)になると発表した。保安院の西山英彦審議官は「現時点までの放射性物質の放出量は、チェルノブイリ事故に比べて1割前後で、被曝(ひばく)量も少ない」と違いを強調した。

  27. 震災直後に1号機水位!

    圧力と水位データから予想された通りの発表があった。
    1号機では、先月11日の東日本大震災で電源を失った約6時間に、原子炉内の水位が核燃料棒の上端まで45センチと急激に低下していたことが分かった。
    ほぼ同時刻に2号機は同3・4メートル、3号機は同4・2メートルの水位があったことから、1号機がかなり早い時期に危機的状況に陥っていたことが確認された。
    非常用冷却機能があり、本来は8時間程度は働くはずだった。水位は11日夜に急激に低下した後、12日未明には一度同1・3メートルまで回復しており、東電は非常用冷却機能が一時的に働かなかった可能性があるとして詳しく調べている。
    震災直後の原子炉内の温度や圧力、水位などのデータは、最近まで公表されていなかった。東電は「データに欠落が多く、公表すべきでないと考えていた。誤解を招くことになった」と釈明している。
    11日10時49分 読売新聞
    (コメント)
    何故、11日のデータをなしに、12日以降のデータを開示したのか?。当初から開示していれば、「冷却水喪失事故」であり、電源を回復しても容器損傷が起きていたため水位回復がむずかしいことがわかったはず、早期に外部からの海水注入に早く決断できたのではないか。すぐに海水注入できれば、水素爆発や溶融の程度が少なく、外部放出量(漏洩水など)も少なかったかも??
    アクシデントマニュアルがなかったか?。報告・相談で決めるやり方はリスクを高めた。

  28. 経済被害対応本部???

    政府は11日、東京電力福島第一、第二原子力発電所事故の被害者への対応の枠組みを協議する「原子力発電所事故による経済被害対応本部」(本部長・海江田経済産業相)を設置した。
    (コメント)
    復興計画の話はどうなったのでしょうか。
    戦後の焼け野原から、復興するため、戦後復興の体制が整備された。旧建設省は、復興の都市計画,道路計画、住宅計画などを推進することで、旧内務省から分離してできたという経緯がある。まさに、復興計画の推進母体であるはずであるが、大臣記者会見を見ても、国土・交通省が復興計画を積極的に進めているようには見えない。
    子育て支援と同様の発想で、経済的支援を行っても、生活インフラの復旧は進まない。強力な地方組織と人材を持つ国土交通省の能力が総動員されているように見えない。

  29. 注水量7500トンを超える

    4月13日までの注水量は計7584トンで、内訳は、1号機90トン▽2号機434トン▽3号機5244トン▽4号機1816トンとなっている。東電によると、3、4号機で使用済み燃料の発熱が比較的大きく、放水量が多くなっているという

  30. 4月12日4号機また出火

    放水口付近で一時出火、消防へ午前6時45分頃連絡したという。原因は調査中とのこと。
    (コメント)
    なぜ火が出るのか?
    説明が無い????
    4号機は、外部に開放されてしまったプールなので、一番リスクが高いのでは??。東電によると、周辺の放射線量に変化はなく、注水作業にも影響はないというが???
    以前の書きニュースと関連は???
    米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は3月18日、東日本大震災で被災した福島第1原発4号機について、使用済み燃料プールに亀裂が入り、冷却水が漏れている可能性があると報じた。米原子力規制委員会(NRC)の複数の原発専門家の分析として伝えている。
    また、東京電力は4月13日、福島第1原子力発電所4号機の使用済み核燃料プールで採取した水から、1立方センチメートル当たり401ベクレルの放射性物質が検出されたと発表した。東電は「一部の燃料棒が損傷した可能性は否定できない」としている。

  31. 謎の多い4号機の水の調査

    東京電力は12日、福島第1原発4号機の使用済み燃料プールの状態を調べるため、コンクリートポンプ車を使って水を採取する。4号機は燃料が露出して損傷した恐れがあり、水に含まれる放射性物質の種類や量を詳しく調べる。
    ポンプ車のアームで容器をつり下げてプール内に下ろし、水を採取。燃料が破損すると被覆管内部に閉じ込められた放射性物質が漏れ出る可能性があり、物質の種類や水の温度、プール上の放射線量も調べる。
    (コメント)
    4号機の出火とともに、正門の放射線量が1ケタ上昇している。ずいぶん遅れて燃料の損傷な可能性を言いだし、ずいぶん遅れて水の調査を始めている。この間に、4号機近くの高い放射線量も公開したが、何故か情報の少ないが、燃料も多く、発熱量も、放水量も最も多い4号機である。
    報道陣は、1から3号機ばかり注目するが???

  32. 4号機火災は漏電???

    東京電力によりますと、津波のために屋根がなくなり、測定機器のバッテリーなどが野ざらしになったために漏電した可能性があるということです。
     火はすでに消えていて、周辺の放射線量にも変化はなく、12日に予定されている作業に大きな影響はないとしています。(12日11:09)

  33. 保安院「溶融」と初見解

    4月18日の記者会見で、保安院は1~3号機の核燃料が「溶融していると思われる」と述べ、内閣府の原子力安全委員会に報告
    「ペレットが溶融している」とした理由は、2、3号機は「ペレットが溶融して生じる放射性物質が高濃度の検出された」ことを、1号機は「水素爆発に至った」ことを挙げた。
    ペレットの一部が溶けだしている状態を「燃料ペレットの溶融」、溶けた燃料が下に落ちていくのを「メルトダウン(炉心溶融)]
    (コメント)何故、圧力、水位、温度データも加えて説明しないのか?

  34. 飯舘村でも高い放射線量

    文部科学省は4月17日、同原発から約25~35キロの6地点の積算放射線量を発表した。
     福島県飯舘村長泥で、3月23日からの24日間分の積算線量が1万120マイクロ・シーベルト(10・12ミリ・シーベルト)に達した。政府が設定する「計画的避難区域」の基準(年間20ミリ・シーベルト)の半分に相当する。

  35. 4号機プール燃料が損傷!!

    4号機プールは現在、計算上の蒸発量に合わせて2日に一度、140トンの放水を続けている。12日の分析で、通常なら検出されない放射性ヨウ素などが確認され、燃料が損傷している可能性が指摘されている。
    4月22日20時26分 読売
    (コメント)
    やはり、火災が発生し、放射線量が急増した15日に、空炊き状態で燃料が損傷した可能性がある。危機一髪で注水か?。水面下に現在燃料があるので事なきを得ている状態であろう。

  36. 4号機プール燃料が損傷!!

    東電によると、採取した水の分析から、プールでは水温が爆発前日の84度を上回る90度まで上昇していたことが判明し、注水作業が続けられている。また、セシウム137など核燃料損傷の際に放出される放射性物質が検出されていた.
    4月15日 毎日新聞

  37. 4号機プール燃料が損傷!!

    使用済み燃料の一部が破損して放射性物質を含むプールの水が漏れるか、あふれた可能性があるという。4号機では、タービン建屋地下にも汚染水がたまっているが、より高濃度の2号機の汚染水処理が優先され、4号機の対策は未定という。
    (コメント)
    爆発でプールの壁が弱くなったいる。
    亀裂が入って水漏れし、冷却しにくくなったら大問題になる。建屋の補強問題と漏水対策が必要か?。
    すでに、亀裂で漏れていないか要チェックかも

  38. 4号機の謎

    汚染水が見つかったのは3月31日と遅いし、発表は4月2日。
    「原子炉建屋の1階と地階を結ぶ階段付近から、高濃度の放射性物質を含む水が見つかったと発表。 水表面の放射線量は毎時100ミリ・シーベルトほどと高く、作業への影響が懸念されている。 」
    (コメント)
    何故、他の炉と比べ、こんなに遅れて発見し、発表も遅いのか?。
    空炊きによる火災ののち、爆発したのですから、燃料の損傷と汚染水の流出は注水と同時に発生していたはずですが・・・・・・

  39. 4号機の謎

    米ロスアラモス国立研究所の元幹部でウィーン在勤の技師、ロバート・ケリー氏は露出した使用済み燃料棒は発火して溶け、大気中に放射線を出す恐れがあると指摘。水が蒸発して燃料棒が露出すると、燃料棒のウランが保護鞘を溶かして熱や放射性セシウムを放出する。「ウランが水中で溶ければ、ある種の原子炉を作ってしまうことになる。こうした状況でこの原子炉は制御不能となり、核分裂を始めることになる」と取材にこたえている。
    4号機プールは、冷温停止した後の、使用済み核燃料の保管庫の状態であったと見なせる。保管中の燃料が全電源停止により、発熱・損傷した事故である。セシウムが出たという事実から、再臨界に至らない管理対策が望まれる。
    このことから、使用済み核燃料の保管をどうするかという問題が、再び発生。たとえ廃炉しても保管は続く。

  40. 建屋を隔てる壁に亀裂

    4号機で、タービン建屋の水位が約10日間で20センチ上昇したことが明らかになった。原子炉建屋地下にも水深約5メートル、水量4000トンの汚染水がたまっている。隣接する3号機では原子炉冷却のため1時間当たり約6トン注水されている。東電は炉から漏れた水が、3、4号機のタービン建屋を隔てる壁の亀裂などから4号機側に漏れていると見ている。4月23日14時20分 読売
    (コメント)
    そうでない可能性もある。すなわち、プールの壁にひび割れが発生し、注水した水が、流れ出てタービン建屋に入っていることも考えられる。何故、このケースはありえないと言えるのか???

  41. 電事連に東電賠償負担を要請

    政府が、新設を検討している「原発賠償機構(仮称)」への資金拠出を電力会社の業界団体である電気事業連合会に要請していたことが24日、わかった。
    政府は今月中にも賠償策の大枠を発表する方針で、調整を急ぐ.
    電事連は23日、原発を保有していない沖縄電力と当事者の東電を除く、関西電力や中部電力など8社の社長を集め、対応を話し合った。電事連の事務局が政府の原案を説明し、意見を求めたが、まとまらなかったという

  42. 大気放出は1日154テラベクレル

    原子力安全委員会は4月23日、東京電力福島第一原子力発電所から大気中に放出された放射性物質の量が、放出量が落ち着いた4月5日の時点でも、1日あたり154テラ・ベクレル(1テラは1兆)に達していたことを明らかにした。はこれまで、5日ごろの放出量について、セシウムとヨウ素の量を単純に合計し、「毎時約1テラ・ベクレル以下」と低く見積もっていた。国際的な事故評価尺度(INES)で使われるヨウ素換算値で、ヨウ素とセシウムの合計量を計算し直した結果である。
    朝日の記事によると、同委員会の計算で、事故発生直後の12日から24日までに、放射線ヨウ素が3万~11万テラベクレル放出された(積算値)。
    (コメント)何故、早くに国際基準の評価尺度で発表しなかったの??。単純合計したのだから、それぞれ測っていたのだし、換算は容易です。
    ということは、最初の10日の間はおおよそ1日3000から10000テラベクレルですから、最近は1/20から1/80と考えてよいのか?。当初10日あまりの累積値も過小?。換算方式の訂正ならば、併せて、さかのぼって訂正しておく必要があろう。