就活の新卒大学生の就職内定率:2011年までの推移

厚生労働省は2010年5月21日に、大学等新卒者の就職内定状況の最新調査結果を発表した。それによると「2010年4月1日(3月末)時点での大学新卒者の就職内定率(就職希望者に占める内定取得者の割合)は91.8%だった」としている。しかしながら、この調べが実態に反しているわけではないが、この内定者数27万人弱に対して、卒業者総数56万人であり、民間企業就職希望者45万人とすれば、正社員への内定者率は60%程度であり、40%の18万人以上が進路変更や正社員を断念したものと思われる。詳細は以下による。
今年の就活状況
現在就職活動中の来年(2011年3月)就職予定の大学生の内定率が報道されている。
概ね、下記の状況のようです。毎日コミュニケーションズ(マイコミ)が6月末時点の「2011年卒マイコミ内定率調査」の結果。有効回答数:5612名
1.大学生、大学院生(全体)の6月の内々定率は、49.7%。
2.文理男女別に見ると、文系男子が51.1%、理系男子が58.4%、文系女子が42.6%、理系女子が44.9%
3.理系が有利であることが顕著になった。
4.6月末時点で内々定を保持している約半数は恵まれた学生とも言える。
6月現在でも、就活大学生の半分しか内定が得られていない状況は、企業活動が回復中とはいえ、酷い状況である。
そこで、過去の内定率の推移を調べてみた。

厚生労働省が、公開している大学生等の内定率である。図のように、就職希望者に対する内定者の割合=内定率が公開されている。
1.これを見ると、10月1日現在では、翌年3月末に卒業し就職する人の内定率は低いが、4月1日にはほとんどの希望者が内定していることになっている。
たしかに、4月1日時点の就職希望者の内定率は90%以上にもなって、ほとんどの希望者が入社式に参加できるという、めでたい数字が、公表されているが、実態はどうであろうか?

大学生等の就職内定率:政府発表

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卒業予定者の何割が正社員としての内定をもらっているかが、重要と考えて調べてみたが、公表の図表が見当たらない!!。
厚生労働省と文部科学省の「大学卒業(予定)者の就職状況調査」は「実体とあまりにもかけ離れている」と憤慨するひとが多い。要は、元データを加工して、見栄えの良い就職希望者の内定率の90%以上を公開しているに過ぎない。

早速、厚生労働省のデータを過去に遡って調べてみた。

大学卒業予定者、就職希望者、内定者の推移:10月1日現在

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この数字は、下記の実態を表している。
1.毎年の卒業総数は、約55万人であり5年間安定している。
2.正社員としての就職内定をもらっている学生は、卒業総数の約半分程度。
3.10月1日でも、就職希望者の多くが内定していない。今年の春に卒業した学生の場合、42.8万人の就職希望者のうち16万人の学生が去年の10月に内定をもらえていなかった。
4.今年の卒業生は、リーマンショック以降の経済低迷で、5年前と同様の就職氷河期であった。

大学卒業予定者、就職希望者、内定者の推移:10月1日現在

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大学卒業予定者の就職内定状況の推移:構成比率

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この図から、読み取れる実態は
1.卒業予定者の半分程度しか10月1日時点では、内定をもらっていない。
2.残り半分は、就活を継続するひと、あきらめて進学・留年する人、非正規雇用の道を選ぶひと、自営・家事労働に就くひとなど多様であろうが詳しい統計が見当たらない。
3.今年(来年卒業予定者)は、理系の内定が回復傾向にあるものの全体では、5年前と同様の厳しい新卒雇用動向にある。

ワークス大卒求人倍率調査(リクルートワークス研究所)では民間企業就職希望者数は45万人程度としている。
卒業生56万人から、進学者・研修生の9万人を引くと、47万人であり、公務員が2万人弱としてこれを引くと45万人になる。
この民間企業就職希望者45万人に対して、今年春の卒業生で正社員の内定をもらえた人が、26.8万人であり、残りの18.2万人が希望がかなわず、やむを得ずに、進路変更や非正規雇用の選択、断念などしているのが実情であろう。
就職活動の面接会社数と内定率:就職内定確率 を別途まとめてあります。
関連データー
1.毎年5~6万人が大学を卒業せずに4年次で留年している。
2.2010年の派遣社員数は98万人、契約社員322万人。
3.正規雇用者は1997年までは増加していたが、それ以降、2006年まで減少し、07年以降ほぼ横ばいとなっている。非正規雇用者比率は1990年の20.0%から2008年の33.9%へと大きく上昇した。いまや3人に1人以上は非正規雇用者となっている。
4.2007年雇用者数5120万人の内訳:正規社員3393万人、派遣・契約社員561万人、パート等1165万人です。失業者は272万人。
5.ニート:「若年層無業者」。平成17年以降の労働白書では「若年無業者」として新たに家事・通学をしていない既婚者・学生も加え、2003~05年64万人、2006~07年62万人、08年64万人と発表している。
6.2009年の平均での若年層(15~34歳)における「パート・アルバイト及びその希望者」(厳密には「男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者」で、「パート・アルバイトとして雇用されている」「完全失業者で探している職種がパートかアルバイト」「非労働人口で、家事も通学もしていない人のうち、就業内定をしておらず、希望する仕事の形式がパート・アルバイト」のいずれかに該当するものと定義づけている)は178万人となり、6年ぶりに増加の傾向を見せた。
7.15~24歳の雇用者は534万人で、そのうち249万人が非正社員(46.6%)この249万人のうち、118万人は在学生(学生アルバイトなど)