地球と金星:水の惑星とCO2の惑星

金星について、調べてみた。2009年になって、重要な研究が2つ(金星の重水素と、水の惑星の発見)ほどあった。
地球の温暖化問題を考えると、何故、地球は酸素が多くCO2が極めて少ない星であるが、金星や火星には、CO2ばかりで、酸素が無いのかが不思議です。そして、地球の大気中の酸素濃度は、比較的安定しているが、将来この安定が崩れてCO2が増えると同時に高温度(金星のように)なる可能性があるのでしょうか?
1.水の惑星・地球:水がCO2を無くし、酸素を作った?
水は、液体ですが、零℃で氷になり、100度で蒸気になる。自然の温度の元で、固体、液体、気体の3態をとる唯一の物質です。また、あらゆる物質の中で最大の比熱を持つ。(気温の安定に役立つ)
地球上に海があるのは、奇跡的に稀なことといわれている。それは、太陽からの距離で地球の表面温度が決まり、地球の重力で水が表層に維持される。
水は、軽い液体であり、凍ったり融けることで大量の熱を吸収したり放出したりする。このことが地球の表面温度を安定させている。
水のおかげで生命が誕生し、太古の昔にCO2が大量にあった地球も、現在のように、窒素、酸素を中心とする大気組成になったと言われている。その化学反応は以下のとおりである。
1.地表に水が現れて、維持され続けた。
2.水中にCO2を大量に融けこんだ
3.水中にバクテリアが発生し、光合成を行うことでCO2から酸素を作った。
4.同時に水中のCO2が融けた水中の金属イオンと反応し、炭酸カルシウムや酸化鉄などの形でCO2を固定していった。
4.陸上や海中に植物や海藻が現れ、光合成をすることで大量に酸素を作りCO2を吸収した。
水があったことで、現在の大気組成ができたことは、たしかなようです。
一方、明けの明星ともよばれる金星は、地球より太陽に近いことで、高温であり、水はあったかもしれないが蒸発し、H2Oのガスとなり、さらに水素と酸素に分解されて、軽い水素が上空に舞い上がり、重力を振り切って宇宙に散逸してしまったとの説がある。
金星に水はあったか?
金星には、太古の昔に水があったとの説がある。その根拠は、1.大気中に重水素がのこされていること。2.液体が岩石を浸食してできた河川のようなものが金星にあること。から言われている。しかしながら、1.2.ともシミュレーションで確認されたわけではないようです。2009年9月フランスのLATMOS研究所のエマニュエル・マルク(Emmanuel Marcq)研究員らは、欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)の金星探査機「ビーナスエクスプレス(Venus Express)」が収集したデータから、こうした「重水素の痕跡」はかつて表面に存在していたかもしれない大量の水の名残だとする論文を発表した
水の惑星は地球以外に見つかっているか?
最近になって、地球に近い宇宙に、水の惑星がみつかっている。つまり、地球のように水が液体として存在しうる位置のスーパー・アースが発見された。惑星「GJ 1214b」は、太陽より小型の恒星の周りを公転しており、大きさは地球の2.7倍。岩石や金属などの固体を主成分とする「スーパーアース」に分類される。地球から約40光年という近距離にあり、小型のアマチュア望遠鏡で地上から発見されたという。この惑星には液状の水があると思われるが、大気が濃密で気温も高いため、地球型の生命が存在する可能性は低いという。表面温度は推定120~280度で、生命体を維持するには高温すぎる。しかし、惑星の密度は、4分の3が水と氷で、残り4分の1が岩で構成されている可能性を示しているという。米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(Harvard-Smithsonian Centre for Astrophysics)が2009年12月16日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表。
金星と地球の違いは?

  • 金星は大きさや重さは地球と似ていますが、惑星表面の環境は地球と大きく違っています
  • 大気は二酸化炭素(96.5%)に対して、地球にはごく微量(0.035%)
  • 金星は全体が雲でおおわれており、その雲が太陽光を78%も反射するので吸収する太陽エネルギーは地球より小さい
  • 平均地表温度(℃)は、460度に対して、地球は17度C
  • 大気が地面の60倍もの速さで回転し、風が吹いている。そして地表の気圧も92倍も高い

不思議な風は「スーパーローテーション(超回転)」とか「4日循環」とか呼ばれています。大気には粘性(ねばっこさ)があり、地面との間で摩擦が働くので、特別なしくみが働かないかぎりこのような風が吹くはうがないので、不思議な現象です。金星は地球の約100倍もある分厚い大気と惑星全面を切れ間なく覆う硫酸の雲(高度50~70km)によって隠されており,光を使っては地表を観測することがほとんどできないようです。
大量の液体の水の存在は,CO2の吸収・放出によって温室効果を調節し,気温調節の効果を担うものである。高温で乾燥している現在の金星は、水が宇宙空間への散逸したとも言われる。金星の超高層の領域で生じるプラズマ過程によって、超高速の太陽風流は大気コロナの奥深く,高度数百kmの高度域にまで直接吹き流れることで、水が分解されてできた軽い水素ガスをはぎ取って宇宙に放散させたのかもしれないという。
大気散逸現象のシミュレーションは行われているが幾多のプラズマ過程がブラックボックスである上に、観測データの不足から検証されていないといわれている。
火星も水のある惑星
太陽系の惑星は、およそ46億年前に星間ガスが集まって太陽がつくられるときに、ほぼ同じ材料からつくられたと考えられています。液体の水が海として安定して表面に存在できるためには、太陽からの距離と、惑星のサイズの2つの条件をちょうどよく満たさなくてはいけないことになる。
地球よりもうんと寒い火星には水があるようです。
火星の極には、白く輝いて見える、極冠と呼ばれる部分があります。よく観察すると、極冠は大きさが季節によって変化していることがわかりますので、水があるようです。また水が流れたと考えられるような、谷の地形が見られるところがあります。また、火星の大気や土壌の分析結果からも、たくさんの水があったと思われます。ということは、地中に永久凍土として水が閉じ込められていると予想されています。
フェニックスには、小さなオーブンが搭載されていて、これを使ってサンプルを加熱し、沸点を調べることで、どんな物質か断定できます。“氷のようなもの”を含むサンプルを加熱し、水の沸点とほぼ同じ温度で蒸発したので、NASAは火星も氷と断定し、2008年7月31日、水の直接証拠が得られたと発表しました。
ボーデの法則:太陽系の惑星の数列
ドイツの科学者ティティウス(1729-1796)は、当時知られていた太陽系の6つの惑星(太陽に近い順に、水・金・地・火・木・土)の太陽からの距離が簡単な数列で表すことができることを発見しました。土星から太陽までの距離を100とすると、各惑星の太陽からの距離は水星:4,金星:7,地球:10,火星:16,木星:52となります。これらの距離は0,3,6,12,(24),48,96・・・というように、2倍ずつ増えていく数列に、それぞれ4を加えてできる数列にうまく合います。この数列では火星と木星の間の28の数字が抜けており、この位置に未知の惑星があるように思われます。これに相当するのが、後になって発見された小惑星群と考えることができます。
チチウス・ボーデの数列      実際の値
惑 星 n (4+3×2n)÷10     距離(1AU:1天文単位)
水 星 =-∞ (4+0)÷10=0.4     0.39
金 星 0   (4+3)÷10=0.7     0.72
地 球 1   (4+6)÷10=1.0     1.00
火 星 2   (4+12)÷10=1.6    1.52
小惑星 3  (4+24)÷10=2.8    2.77
木 星 4   (4+48)÷10=5.2   5.20
土 星 5   (4+96)÷10=10.0   9.54
天王星 6  (4+192)÷10=19.6   19.19
海王星 ? (法則に従っていない)  30.06
冥王星 7  (4+384)÷10=38.8   39.53
コンピュータによる惑星形成のシミュレーションの結果では、生成する惑星の配置は初期条件によって大きく変わり、形成後にも惑星の軌道半径の変化が起きることが分かっている。また近年、恒星のすぐ近くを公転する系外惑星の発見が相次いでいる。そのため、ティティウス・ボーデの法則は、力学的な必然ではなく偶然だという考え方が主流となっている。
ハビタブルゾーン :水が液体であり生命が生存できる領域
ハビタブルゾーンとは、惑星の表面温度が、生命が潜在的に生き延びられる液体の水を維持できるかもしれない程度となる、恒星の周りの球状の宇宙空間の領域である。諸説あるが、太陽系では大体0.97~1.39AUの領域がHZだと言われている。太陽系は、もう少し太陽に近ければ、水が蒸発したかもしれないのでしょう。
最も、乱暴な計算の方法ですが、ある恒星のCHZ(永続的ハビタブルゾーン)の”中心”までの距離は、次の式により決定される。
Dau=SQRT(Lstar/Lsaun)
Dau :HZの中心の半径
Lstar:恒星の光度
Lsun :太陽の光度
このHZの中心は、系外惑星が地球と同じような大気組成・大気圧であると仮定した場合に、地球と同じような平均温度となるだろう距離として定義されている
13.6:400:246:0:0:habitable:center:0:0::