短期国債、国庫短期証券の発行増加と日銀当座預金増加 : 金融緩和の行方

日銀発表(2009年2月3日)によれば
「金融機関が日銀に預ける当座預金の1月の平均残高が10兆9378億円となり、前年同月比で41.8%増加したと発表した。量的緩和政策を実施していた2004年3月以来、約5年ぶりの高い伸び。金融機関の年末越え資金繰りを助けるために資金を潤沢に供給し、当座預金に金利を付ける措置を実施した影響で、資金が短期市場に流れず当座預金に滞留した。」
年末の景気悪化により、リストラによる雇用不安や企業の資金繰りの悪化が続いている。
政府の対策等について、出来事および予定を調べてみました。金融緩和に関連するものを潤に書き出してみます。
1.2008年10月末 日銀当座預金に 0.1%の金利を付与する決定
2.2009年1月末 当座預金の1月の平均残高が10兆9378億円。前年比で急増!!
3.2009年2月予定 国債・国庫短期証券等は合算で83,500億円の発行超見通し。
4.3月末までに 伊吹前財務大臣が定額給付金2兆円の財源として関連法案が国会を通過しない場合でも政府短期証券を発行する案を言明。年度内支給を急いでいる。

潤沢に日銀が供給した資金を、金融機関がどのように運用するかによって、資金が民間企業のクレジットクランチの解消に向かうか、それとも国債や政府短期債に流れるかが決まってきます。
民間企業に資金が流れないのではと心配になりました。
せっかく、クレジットクランチの緩和のために、日銀が実施した当座預金増加策です。
資金が民間に流れ、倒産や解雇が減少するのを期待していました・・・。
公的資金需要の量は、国債、短期証券などが、民間のCPよりも巨額です。
量的緩和の多くがまた公的な資金として使用されてしまうか?
ちなみに、日銀の量的緩和は、国債などを銀行から購入することで、銀行にお金を渡して、日銀当座預金を増加させているので、日銀による国債などの購入による資金供給が、民間金融機関の政府短期証券等の購入に、姿を変えているだけかもしれません。
違いは金利です。
お金は世間の廻りものなので、何がおきるか?影響効果をよく見極めたい。
最近のイールドカーブはどうなっているのでしょう。
米国では、短期債の利回りと長期債(30年物)の利回りが低いので、山型になっている。
米国では10年債2.88% 2年債0.97%、1か月前1月5日は10年債2.48% 2年債0.78% なので、金利上昇の局面?。国債発行が過去最大規模に達するとの懸念を背景に、リスクの高い資産に資金が動き出している。
米国債の大量発行から需給難、経済刺激対策に約8000億ドルの効果が上がらなく失望感が出てくるのではとの見方があるようです
日本では、10年債の1.2%。フラットです。
参考:イールドカーブとは

15 thoughts on “短期国債、国庫短期証券の発行増加と日銀当座預金増加 : 金融緩和の行方

  1. 金利の見通し

    日本の銀行間金利は、年末をはさんで3カ月間資金を貸し借りする取引の金利は、10年9カ月ぶりに0.9%台に乗せる高水準でしたが・・。
    FRBの資産がかつてない勢いで膨張
    「ニューヨークのドルの銀行間市場ではマネーがジャブジャブに溢れている。銀行がFRBに預けている預金残高(いわゆる準備預金)の1週間の平均は、9月10日時点は80億ドルだったが、11月5日時点は4936億ドルと、わずか2カ月で62倍に膨らんだ。」

  2. 外銀の日銀当座預金が急増中

    2月17日(ブルームバーグ):日本銀行の当座預金に滞留する外国銀行の資金が膨らんでいる。ドルを円に一定期間交換する為替スワップ取引で調達した資金を、安全かつ確実に0.1%の利息が稼げる日銀口座で運用しているためとみられる。こういった資金は1兆円を超えており、短期資金を貸し借りする東京インターバンク市場の取引が減少している背景にもなっている。
    日銀が公表した1月の業態別の当座預金残高によると、外銀が法定以上に準備預金を積み上げた超過準備額(平均残高)は前月比2800億円増の1兆1580億円まで膨らんだ。預金の少ない外銀が本来必要な所要準備額は300億円弱で、大幅な余剰資金を抱えている。

  3. 外銀の日銀当座預金が急増中

    日銀はキャッシュが余っている(資金超過)際に債券の売りオペを行い、キャッシュが足りない(資金不足)月末に買いオペをする(または、現先オペというのを使って15日から月末まで債券を都銀に貸して代わりに現金を借りてもよい)ことで、両方の金利を安定させることが出来る。実際には、国債の入札(資金不足要因)や公務員の給料の支払い(資金超過)、満期を迎えた国債の償還(資金超過)などなど、恐ろしく複雑な資金需給のスケジュールがあり、日銀の調節担当者はその辺りの動きを読んで、いつ買いオペをし、いつ売りオペをするかを考えている。

  4. 追加借金 急増する短期債権

    金融緩和政策により手元資金が膨らむ一方、運用難から中短期金利が低下する流れは、世界的なトレンド。
    税収の下振れが鮮明になれば、財投債を含めて新規国債発行額が20兆円に迫る事態も予想されている。

  5. 金利水準7月1日

    財務省が2009年7月1日実施した3カ月物国庫短期証券(T―Bill、36回債、10月5日償還)の入札は、平均ベースでの落札金利が節目の0.15%を下回り、2006年7月のゼロ金利政策解除後の最低水準を更新した。

  6. 国債の保有主体別内訳

    現在の国債の保有状況を見ますと、間接金融が中心となっているわが国においては銀行、生命保険会社等の金融機関や郵便貯金などが中心となり、国債の大部分が保有されています。
    日本銀行の資金循環統計によりますと、国債の主体別保有割合は01年12月末時点において市中金融機関32.9%、日銀14.9%、郵便貯金9.9%、簡易生命保険9.9%などと、金融仲介機関が大多数の国債を保有しています。
    また、海外投資家の保有割合は5%に過ぎず、95%が日本国内で安定的に保有されています。 特に最近の動きとしては、デフレ対策のため金融調節の一環として日銀による国債の買い切りオペの増額があります。
    現在、1ヵ月の日銀による国債買い切りオペ金額は1兆円に達しており、それに伴って日銀による国債の保有残高は増加傾向にあります。
    一方で個人が直接保有する国債は11兆円、2.5%程度

  7. マネーサプライ

    マネーサプライとハイパワードマネーの比率を貨幣乗数という。
    日銀当座残高の増加=ハイパワードマネーの増加である。企業の借入などを通じて非金融部門に供給され、それが再び預金となった金融部門に戻ってくると、それを原資に再び金融部門が非金融部門に貸し出しをする。
    この、非金融部門と金融部門の間のやり取りを通じて、もとのハイパワードマネーが何倍かになる。
    マネーサプライの増加を狙った金融政策である。

  8. 民間部門に供給

    2007 年度の国内総生産見通しは521.9 兆円であることから、国債発行総額のGDP に占める割合は27.5%に及ぶ。日本銀行は政策金利を経済成長率よりも低い水準としている。一国の成長率と、自然成長率が等しいとするならば、現在の政策金利はこれを下回る金融緩和状況にあることとなる。インフレリスクがないと思って国債の消化を助けていると、民間への資金供給を捻じ曲げてしまい、将来のGDPの成長や雇用の機会の創造を無くしてしまいかねない。公的資金需要が多すぎるというか無駄づかいというか・・・。

  9. 長期金利の謎

    市場で決まる長期金利。長期金利が低い理由は?
    1.景気の先行きに対する市場の不安 2.年金などによる債券運用の拡大 3.海外からの債券購入による資金流入 4.デフレ継続への期待 5.インフレ圧力の抑制

  10. 郵貯と日銀当座預金

    郵政民営化(2007年10月1日)により、ゆうちょ銀行は「準備預金制度」の適用先になった。これまでは「日本郵政公社を除く日銀当座預金」が公表されていたが、それは取りやめられ、07年10月16日以降、ゆうちょ銀行の日本銀行への預け金は「(日本銀行)当座預金」「準備預金」に含まれるようになり、「業態別の日銀当座預金残高」統計では「その他準備預金制度適用先」に含まれるようになった。郵貯の2008年3月末現在の日銀への預け金は、三菱東京UFGよりも多い。準備預金残高が2007年10月から急増した理由

  11. 国債の保有内訳

    郵貯と簡保が、国債の3割を保有している。これに日銀が1割、公的年金が1割であり、合計すれば約半分をパブリックな金融機関が保有していることになる。預貯金の多くが民間投資に行かずに、国債購入に向かう理由はここにある。

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