日本の携帯電話市場は、加入数でみると成熟市場であるが、昨年から端末やOS、ソフトに急激な変化が出ている。一言でいえば、ガラパゴス携帯から、iPhone、Android携帯への移行である。
まず、日本の年間の携帯加入数の純増を見ると、1995年から2000年頃は、毎年1000万もの新規加入があったが、最近の5年は400万から500万人程度に減少している。少子高齢化のなかで加入数の飽和も近いと言えよう。
一方、逆に、世界では、iPhone、Andoroidなどの端末の販売が急増している。2009年の世界のスマートフォンの出荷高は1億7240万であり、現在、この市場で大きなシェアを保っているのはSymbianの46.9%で、以下はBlackBerry(Research In Motion)が19.9%、iPhone OSが14.4%。しかし、iPhoneの出荷高は、2008年のシェアが8.2%だったのに対し、2009年には14.4%とシェアを大きく伸ばしている。iPhoneとAndroidの躍進に注目が集まっている。
日本では、2009年度(2009年4月から2010年3月)の国内における携帯電話端末の総出荷台数は、3444万台で、前年比4%減と通期では2年連続の減少となった。メーカー別の出荷台数シェアは、シャープが前年比9.5%増の903万台(シェアは26.2%)で2005年度以降5年連続の1位となった。2位以下は520万台(同15.1%)のパナソニック モバイルコミュニケーションズ、518万台(同15%)の富士通と続く。iPhoneを販売するアップルは7位で、169万台(同4.9%)となっている。
ところが、2010年度になって様相が変化してきた。IT 専門調査会社の IDC Japan は携帯電話市場7月~9月(2010年第3四半期)の出荷台数を発表した。それによれば、
(1)ソフトバンク向け Apple 製「iPhone」の出荷台数が100万台を超え、スマートフォン需要をけん引
(2)スマートフォンや「らくらくフォン」など、多様な上位機種から中、下位機種でも堅調に販売が伸ている。
調査会社のMM総研(東京・港)は2010年度の高機能携帯電話(スマートフォン)の国内出荷台数が前年度比2.9倍の675万台に拡大するとの見通しを発表している。携帯各社は年末から来春の商戦期にかけて20弱の新機種を投入する予定で、足元の販売も好調。当初予測の440万台から1.5倍に上方修正した。
何が起きているかといえば、グローバルな携帯市場の動きを日本の消費者が敏感に察知して、WEB閲覧やツイッター、携帯ゲーム、音楽などの利用に便利な携帯への移行を始めたようです。
世界のiPhone販売台数も図のように、急増している。また米国等でAndroid携帯が躍進し、iPhoneを凌いで、一挙にシェアを拡大しそうである。
グローバルな携帯電話市場では、端末の部品が世界中各地で作られている。重要な部品は、日本、韓国、そして台湾で作られている。iPod Nanoの場合は、フラッシュメモリは東芝、リチウムイオン電池は三洋とソニー、カラー液晶はシャープと東芝と松下で、製造コストに占める日本製品の比率は81%と多い。日本のメーカーも、世界の携帯市場に部品を販売するためには、日本市場が変わってくれなくては動きにくいでしょう。
AuのAndroid携帯がようやく12月に発売され人気になったが、この携帯はシャープ製である。カシオのAndroid携帯も近く出荷される予定という。skypeがデータ通信で使えるので、海外と無料電話ができるなどメリットが多いので企業でも採用されるのではなかろうか。
MM総研の予測では、11年度もKDDI(au)が新商品の半数以上をスマートフォンにするなど携帯各社のスマートフォンの品ぞろえが広がる見通しで、スマートフォン出荷台数は09年度比6.6倍の1545万台に拡大。12年度には通常の携帯電話の出荷台数を上回り、15年度に2410万台に達すると予測している。
Mixi、FaceBookやTwitterなどソーシャルネットワークは、日本人での普及は速かった。モバイルがソーシャルネットワーキングを加速する点でも、日本は世界の中で群を抜いているにで、3Gの高い普及率が、それに弾みを付けるでしょう。