石油価格高騰とバイオマス :海藻酒を見て思う

手元に隠岐の島の2本の焼酎がある。隠岐の知人からいただいたものである。
焼酎 わだつみの精:隠岐酒造
海神を意味する「わだつみの精」という、よい名前です。
説明には「本格焼酎 いそっ子を堅樽で完熟するまで貯蔵した古酒」とある。
海藻が、芋・麦・米のように発酵して、焼酎になるとは、考えてもみなかった。
海藻の主成分は、寒天であり、アルギン酸である。もし海藻からアルコールが作れるならば、素晴らしいことになると夢想した。
 「海藻が食料(たんぱく)やアルコールに、変換できるならば、現在の食料不足や地球温暖化問題の解決の助けになるのではという」夢想である。
 なぜ夢想か。海藻を発酵させる技術に関しては、これまでにいくつかの特許が出願されている。例えば、海藻酒および海藻酢の製造方法がみられる。前者は特公昭55-71475の「海藻抽出液による酒類製造法」であり、後者は特公平 10-304866の「海藻酢の製造方法」である。しかしこれら2つの発明は、いずれも加糖をして発酵をおこさせており、海藻は風味、色合い等を加える目的で副原料として使用されているに過ぎず、真の意味で海藻を主原料として発酵させて得られた食品とはいえない。(参考:水産総合研究センターの特許:海藻発酵食品およびその製造方法 より
食料の問題
 まず、食料の話では、以前、石油蛋白の生産やクロレラに期待があつまったことがある。前者は、イメージの悪さと石油の不足問題からか、消えてしまった。クロレラは宇宙などの閉鎖空間での食料自給の切り札として、ずいぶん研究されたが、現在は南の国の水中で培養され健康食品になっている。藻の培養ができても、プランクトンや小生物の連鎖を構成し、有用な食料(蛋白など)まで自然栽培するのは難しいのかもしれない。しかしながら、現在も海藻から蛋白を作る微生物の探求は続いているというので期待したい。ちなみにひじきなどには蛋白が10%ほど含まれている。鯵などは20%程度。
 海中のあわびや藻食魚(草食でなく藻食魚)は、きちんと分解して、自分の体を作っているのだから不可能ではないのだろう。ただ、海のなかには、海藻で育つ魚は皆小さい。ジュゴンは哺乳類で藻食ですが絶滅の危機にある。陸上で牛が育ち肉を食するように、海藻で育つ哺乳類も珍しいので、微生物が頼りであろう。(何故海には海藻を食べる大きい生物がいないか? 海藻は陸上の草と同等の成長をする)
エネルギーの問題
 つぎに、アルコールの話ですが、つい最近まで 安価なアルコール燃料が一部のガソリンスタンドで売られていた。何故か???最近、つまらない理由で販売中止となったと聞く。友人は、ガソリンに引けをとらないぐらい良かったという。静穏で馬力もあったそうだ。これは、サトウキビなどのバイオマスの産物だった。
 有名なのは、ブラジルである。かの国では、世界に大量の砂糖を供給してきたが、豊作は暴落につながり、安定した生産体制ができずに困った事態であった。しかしながら、近年、豊作時(暴落しそうな時)またはガソリン価格高騰時は、アルコール生産に回すことで、価格スタビライジングが可能となった。画期的な効果を生みブラジル経済安定の要因となった。
ブラジルでは、自動車燃料の多くを砂糖きびに頼っている。
 
 近年、中国などアジアの高成長に伴い、エネルギー資源と食料の不足が心配される状況にある。また、昨今のガソリン価格の高騰は、陸上の森林の伐採や石炭利用などの問題を生み出す可能性がたかい。(最近、中国の輸入増で俵ものの価格が急騰。あわびは急激に高くなっているという。)
温暖化対策
地球温暖化問題の根源は、太古に微生物が営々として、大気中のCO2固定して埋もれた石油や、光合成でできた植物による石炭、いずれも地中に空中から固定されたものを一挙に燃焼させることにある。
近年の消費の爆発を止めるのは、強い介入によらざるを得ない。排出権の取引などの経済的微調整の効果は微々であるし、また米国が離脱中であるから、売り手が多く買い手がすくない歪んだ市場となっている。(排出量の急増国も参加せず)
 八方ふさがりのときは、陸上でなく、太古にCO2を固定した海神の知恵をおかりしたくなる。また、長期抜本策を考えたくなる。
 日本では海神は、わだつみであり海部であり安曇であるが、欧米では、ポセイドンと呼ばれる。・・・・・>マリンバイオマスポセイドン構想
2005年9月                           青海波亭の随想

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