春日・和邇臣、淡海国造、天押帯日子命、粟田臣

和珥氏は、奈良北部に勢力をもち、天皇の母系となった古代日本の中央豪族。
本拠地は旧大和国添上郡和邇(現天理市和爾町・櫟本町付近)、また添下郡。

6世紀頃に春日山山麓に移住し、春日和珥臣となる。

淡海国造

淡海国造(おうみのくにのみやつこ・おうみこくぞう)は近江国西部(琵琶湖西岸)を支配した国造。近淡海(ちかつおうみ)国造とも。本拠は、近江国滋賀郡か。後には琵琶湖東岸の淡海安国造を併合し、近江全体を支配したともいう。氏族は淡海氏。小野氏と同族と言われている。

『古事記』によると祖は天押帯日子命
『古事記』孝昭天皇段、孝昭天皇が尾張連の祖、奥津余曾の 妹である余曾多本比売命と結婚して生まれたのが天押帯日子命とあります。この天押帯日子命が、「春日臣・大宅臣・粟田臣・小野臣・柿本臣・壱比臣・大坂臣・阿那臣・多紀臣・羽栗臣・知多 臣・牟耶臣・都怒山臣(君)・伊勢飯高君・壱師君・近淡海国造」の十六氏の祖とされており、

「和珥氏同祖系譜」と呼ばれています。最初にみえる春日臣が、もともと和珥氏を称していたと みられています。

春日親君天足彦国押人命(妃は、宇那比媛 )

記紀ともに、第5代孝昭天皇と、世襲足媛との間に生まれた第一皇子とする。同母弟には日本足彦国押人(孝安天皇)がいる。

和邇氏系図は、押媛(忍鹿比売)の母親を建田背の妹、宇那比媛とする。 押媛の父親は五代孝昭の子、天足彦国押人であるから、宇那比媛は天足彦国押人の妻である

天村雲ー天忍人ー天戸目(兄弟に天忍男)ー建戸目ー宇那比媛(兄弟に建田勢、天足彦国押人の妃)ー和邇日子押人(春日県主)と押姫(孝安天皇妃)

剣根命(葛木国造)ー加奈良知姫(夫は天忍男)ー世襲足姫(孝昭天皇妃)ー孝安天皇と天足彦国押人ー孝霊天皇

『旧事』天忍男命は、葛木の剣根命の娘の賀奈良知姫(かならちひめ) を妻とし二男一女を生む。即ち尾張連の祖の瀛津世襲命、建額赤命、世襲足姫命。瀛津世襲命または葛木彦命は、池心朝 (孝昭天皇) の御世に大連と成った
新撰姓氏録

      左京皇別 – 大春日朝臣・吉田連・丈部
      右京皇別 – 栗田朝臣・山上朝臣・真野臣・和邇部・安那公・野中
      山城国皇別 – 小野朝臣・粟田朝臣・小野臣・和邇部・大宅・村公・度守首
      大和国皇別 – 柿下朝臣・布留宿禰・久米臣
      摂津国皇別 – 和邇部・羽束首
      河内国皇別 – 大宅臣・壬生臣・物部
      和泉国皇別 – 葦占臣・物部・網部物部・根連・櫛代造
      右京未定雑姓 – 中臣臣
    和泉国未定雑姓 – 猪甘首

和邇日子押人彦命 (稚押彦命)。春日県主

彦国姥津命

東大寺山古墳
東大寺山古墳は、和邇氏の墓と言われている。
発掘調査(1961年から62年)。天理大学の金関恕(かなせきひろし)氏らによって行われた。
おびただしい量の鉄剣、鉄刀、槍先、鏃(やじり)、甲(よろい)などが出土した。
鉄刀の一つに、銘文があり、刀の背に金で象嵌されている。次のように判読されている。
「中平□□五月丙午造作文刀百練清□上應星宿下辟□□」
意味は、「中平○年に百練の刀を造る。天上に在っては星を宿し、地上に在っては災いを避ける」という。慣用的な吉祥句である。
「中平」とは後漢の年号で184年から189年の事である。
中平年は卑弥呼が邪馬台国の女王として王位に就いた初めの頃である。

添御県坐神社 歌姫町
奈良県奈良市歌姫町999
祭神 速須佐之男命 配祀 櫛稻田姫命、武乳速命
由緒
添上郡の同名の式内社に比定されている。論社は三碓町の同名社であり、『大和志』は三碓町、『大和志料』は歌姫の当社、理由は三碓町は往時の鳥見庄にあり、鳥見の名は著名であり、よって鳥見御県神社とでも命名されていたのではないか、また鎮座地を御県山と言うことなどをあげている。

御県神社は『延喜式祝詞』のい「御県に坐す皇神等の前に曰さく、高市、葛木、十市、志貴、山辺、曽布と御名は曰して、この六つの御県に生り出づる、甘菜・辛菜を持ち参ゐり来て、皇御孫の命の長御膳の遠御膳と聞こしめすが故に、皇御孫の命のうづの幣帛を称辞竟へまつらく」とある。大和には六つの御県があって朝廷への菜を調進し、御県神が祀られていた。
祭神の武乳速命は津速玉命の御子で、添の御県地の祖神と言う。
鎮座地は大和平太を南北に縦貫する下つ道の北端にあたり、木津川水系と大和川水系との分水界に祀られている。水分の神でもあり、境の神でもある
添御県坐神社 三碓
富雄川沿いの三碓みつがらすは交通の要所であり、奈良時代には豪族小野氏が拠点として栄えました。近鉄奈良線「富雄」駅下車 南へ徒歩12分
祭神;建速須佐之男命、武乳速之命、櫛稲田姫命

和邇氏系図より。一部修正。

孝昭天皇

天足彦国押人命

和邇日子押人命
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彦国姥津命    姥津媛(開化天皇妃)
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伊富都久命          彦国葺命   小篠命    乙国葺命
┏━━━━━━┳━━━━━━━┫   【丈部氏祖】 【吉田氏祖】
彦忍人命   建耶須禰命    大口納命        【飯高氏祖】
(武社国造)    ┃       ┣━━━━━━━┳━━━━━━━┓
八千宿禰命  難波根子武振熊命   彦汝命     真侶古命
(吉備穴国造)  【和邇氏祖】  【葦占氏祖】  (額田国造)
【安那氏祖】  【春日氏祖】  【猪甘氏祖】
【真野氏祖】
【壬生氏祖】

太田亮(おおたあきら)が『日本姓氏家系大辞典』で参考までとしてあげる和邇氏系図
難波根子武武振熊命は和邇氏の人物である。

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