橘とは常世の国の非時香果、浦島太郎

橘は、常世国の非時香果である。

タチバナは、ミカン科ミカン属で柑橘類の一種である。別名はヤマトタチバナとも言う。

本州の和歌山、三重、四国地方、九州地方の海岸に近い山地にまれに自生する。

古事記には、垂仁天皇が田道間守を常世の国に遣わして「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」と呼ばれる不老不死の力を持った霊薬を持ち帰らせたという話が記されている。

廣瀬大社(奈良県北葛城郡)には、垂仁天皇の父である応神天皇の御世に竜神のお告げにより一夜で橘が生い茂ったとの伝承も残されている。橘紋の神紋である。

古事記の本文では非時香菓を「是今橘也」(これ今の橘なり)とする由来から京都御所紫宸殿では「右近橘、左近桜」として橘が植えられている。

元明天皇が、橘諸兄に橘姓を下賜したことにちなみ橘系の氏族が家紋として用いた。梅宮大社では、橘氏の氏神であることから、橘紋を社紋としている。

「橘は実さへ花さへその葉さへ枝(え)に霜降れどいや常葉(とこは)の樹」
万葉集 聖武(しょうむ)天皇

果実は23cmほどの大きさで黄色く、 果皮は薄くて滑らか、ミカンをそのまま小さくしたような形です。

酸味が強いためそのまま食べずに、果汁を食酢にしたり、ジュースやジャムに加工して利用します。

ヤマトタチバナにはビタミン類だけでなく、柑橘系の植物に多く含まれるフラボノイドの一種である

ノビレチン、タンゲレチンなどの機能性成分も豊富に含有される。

最近「ノビレチン」という物質に認知症の予防効果があるのではないかという研究が盛んにおこなわれるようになりました。橘の「ノビレチン」含有量はあらゆる柑橘類のなかでもダントツで、話題になっているシークワーサーの1.5倍にもなります。

常世の国はどこか

日本神話においては、少彦名神、御毛沼命、田道間守が常世の国に渡ったという記事が存在する。浦島子(浦島太郎)の伝承にも、常世の国が登場する。

 伊豆半島が日本最北限の橘の自生地で、しかも日本固有の橘であることが、DNA鑑定で立証されています。

日本には宮崎県・高知県・和歌山県などに橘の自生地がありますが、伊豆の戸田と高知県以外は外国産の柑橘との雑種であることもわかっています。(高知県には固有種と雑種の両方があるそうです)

常世の国とは但馬から海を越えた先であるが、実際の場所は不明である。『万葉集』にあるように「橘を数珠にして手にかけて香りを楽しむ」、また『続日本記』には「酒杯に入れて賜った」との表現からも、花実ともに芳香のある小果カンキツ類であったと推測される。

スクナヒコナの伝承は瀬戸内に多い。

また丹後風土記の浦島太郎伝説は伊予部馬養tが書き残している。海をわたった常世国は、粟島の先の四国であると思います。

伊予国風土記逸文 

スクナヒコナが病気になったのでオオクニヌシが大分の速見湯を地下水路を通して持って来て、その湯を飲ませると、病気が回復した。この湯が道後温泉の由来。 

伯耆国風土記逸文 

スクナヒコナは粟の種子を蒔いた。その粟が生育したら、その粟に上ってはじかれて、常世の国に帰った。 

播磨国風土記 

オオクニヌシとスクナヒコナが生野の峰に稲の種子を持って来たので、稲種山と呼ばれるようになった。 

伊豆国風土記逸文 

オオクニヌシとスクナヒコナが医療として温泉利用を始めた。それが伊豆と箱根の温泉の起源と成った。

浦嶋太郎の伝承

『丹後国風土記』の与謝郡伊根町の浦嶋子

与謝郡日置に筒川村があります。ここに日下部首(くさかべのおびと)等の先祖で名を筒川嶋子という者がいました。

以下のことは以前の国守,伊預部馬養連(いよべのうまかいのむらじ)が書き表したことと同じです。

長谷朝倉宮(はせのあさくらのみや(雄略天皇))の時代,嶋子は一人大海に小船を浮かべて釣りをしていました。しかし,三日三晩経っても一匹も釣れませんでした。あきらめていたころ1匹の五色の亀が釣れました。不思議だなあと思いましたが船上に上げておきました。すると,眠くなっていつの間にか寝てしまいました。

浦島太郎が釣りをした

しばらくして目が覚めると,亀が美しい乙女に姿を変えていました。その美しさはほかにたとえようがありません。ここは陸から離れた海の上,「どこから来たのですか。」とたずねると,乙女は微笑みながら「あなたが一人で釣りをしていたのでお話ししたいと思い,風や雲に乗ってやってきました。」と言います。嶋子はさらに「その風や雲はどちらから」とたずねました。すると乙女は「私は天上の神仙の国から来ました。決して疑わないでください。あなたと親しくしたいのです。」と言います。嶋子は乙女が本当に神仙の国から来たと信じました。さらに乙女は「私は永遠にあなたのそばにいたいと願っています。あなたはどうですか。お気持ちをお聞かせください。」と言いました。嶋子は「そんなに慕われているのを聞けばうれしいことです。」と答えました。乙女は海の彼方にある蓬山(とこよ)の国へ行こうと言います。嶋子は乙女が指さす方へ船をこぎ始めるとすぐに眠ってしまいました。

以下、省略

ここでは、海の彼方にある蓬山(とこよ)の国となっている。