本書には、全部で1182氏姓が記録され、その出自により「皇別」・「神別」・「諸蕃」に3分類されている
筆頭にあげられた「皇別」の姓氏
神武天皇以降、天皇家から分かれた氏族のことで、335氏が挙げられている。代表的なものは、清原、橘、源などがある。皇別氏族は、さらに、皇親(「真人」の姓(カバネ)をもつ氏族)とそれ以外の姓をもつ氏族に分かれる。
「神別」の性氏
神武天皇以前の神代に別れ、あるいは生じた氏族のことで、404氏が挙げられている。
神別姓氏は、さらに、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天孫降臨した際に付き随った神々の子孫を「天神」とし、瓊瓊杵尊から3代の間に分かれた子孫を「天孫」とし、天孫降臨以前から土着していた神々の子孫を「地祇」として3分類している。
「天神」に分類された姓氏は藤原、大中臣など246氏、「天孫」は尾張、出雲など128氏(隼人系の氏族は天孫に分類される。)、「地祇」は安曇、弓削など30氏がある。
「諸蕃」の姓氏
渡来人系の氏族で、秦、大蔵など326氏が挙げられている。諸蕃氏族は、さらに5分類され、「漢」として163氏、「百済」として104氏、「高麗」(高句麗を指す)として41氏、「新羅」として9氏、「任那」として9氏がそれぞれ挙げられる。
416 左京 神別 地祇 弓削宿祢 宿祢 出自天押穂根命洗御手 水中化生神尓伎都麻也 225
417 左京 神別 地祇 石辺公 公 大国主[古記一云。大物主。]命男久斯比賀多命之後也 225
476 右京 神別 地祇 宗形朝臣 朝臣 大神朝臣同祖 吾田片隅命之後也 235
477 右京 神別 地祇 安曇宿祢 宿祢 海神綿積豊玉彦神子穂高見命之後也 236
478 右京 神別 地祇 海犬養 海神綿積命之後也 236
479 右京 神別 地祇 凡海連 連 同神男穂高見命之後也 236
480 右京 神別 地祇 青海首 首 椎根津彦命之後也 236
481 右京 神別 地祇 八木造 造 和多羅豊命児布留多摩乃命之後也 236
482 右京 神別 地祇 倭太 神知津彦命之後也 236
526 山城国 神別 地祇 石辺公 公 大物主命子久斯比賀多命之後也 243
565 大和国 神別 地祇 吉野連 連 加弥比加尼之後也 謚神武天皇行幸吉野。到神瀬。遣人汲水。使者還曰。有光井女。天皇召問之。汝誰人。答曰。妾是自天降来白雲別神之女也。名曰豊御富。天皇即名水光姫。今吉野連所祭水光神是也 250
566 大和国 神別 地祇 大神朝臣 朝臣 素佐能雄命六世孫大国主之後也 初大国主神娶三島溝杭耳之女玉櫛姫。夜未曙去。来曽不昼到。於是玉櫛姫績苧係衣。至明随苧尋。経於茅渟県陶邑。直指大和国真穂御諸山。還視苧遣。唯有三 。因之号姓大三 250
567 大和国 神別 地祇 賀茂朝臣 朝臣 大神朝臣同祖 大国主神之後也 大田田祢古命孫大賀茂都美命[一名大賀茂足尼。]奉斎賀茂神社也 250
568 大和国 神別 地祇 和仁古 大国主六世孫阿太賀田須命之後也 251
569 大和国 神別 地祇 大和宿祢 宿祢 出自神知津彦命也 神日本磐余彦天皇。従日向地向大倭洲。到速吸門時。有漁人乗艇而至。天皇問曰。汝誰也。対曰。臣是国神。名宇豆彦。聞天神子来。故以奉迎。即牽納皇船。以為海導。仍号神知津彦。[一名椎根津彦。]能宣軍機之策。天皇嘉之。任大倭国造。是大倭直始祖也 251
570 大和国 神別 地祇 長柄首 首 天乃八重事代主神之後也 251
571 大和国 神別 地祇 国栖 出自石穂押別神也 神武天皇行幸吉野時。川上有遊人。于時天皇御覧。即入穴。須臾又出遊。窃窺之喚問。答曰。石穂押別神子也。尓時詔賜国栖名。然後孝徳天皇御世。始賜名人国栖意世古。次号世古二人。允恭天皇御世乙未年中七節進御贄。仕奉神態。至今不絶 251
609 摂津国 神別 地祇 大和連 連 神知津彦命十一世孫御物足尼之後也 258
610 摂津国 神別 地祇 凡海連 連 安曇宿祢同祖 綿積命六世孫小栲梨命之後也 258
611 摂津国 神別 地祇 阿曇犬養連 連 海神大和多羅命三世孫穂己都久命之後也 258
612 摂津国 神別 地祇 物忌直 直 椎根津彦命九世孫矢代宿祢之後也 258
613 摂津国 神別 地祇 鴨部祝 賀茂朝臣同祖 大国主神之後也 258
614 摂津国 神別 地祇 我孫 大己貴命孫天八現津彦命之後也 258
615 摂津国 神別 地祇 神人 大国主命五世孫大田々根子命之後也 258
616 摂津国 神別 地祇 神人 同上 259
677 河内国 神別 地祇 宗形君 大国主命六世孫吾田片隅命之後也 268
678 河内国 神別 地祇 安曇連 連 綿積神命児穂高見命之後也 268
679 河内国 神別 地祇 等祢直 直 椎根津彦命之後也 268
739 和泉国 神別 地祇 長公 公 大奈牟智神児積羽八重事代主命之後也 277