薗田 稔らの「日本の神々の辞典」によると927年の延喜式の「大祓詞」に天津神は天上はるかの雲の上におり、国津神は高い山低い山の重なる地上の山中にあって雲や霧のなかに鎮まるとしている。と説明。
さらに記紀神話の高天原系の神々が天津神、天津神「素戔嗚尊」の系譜に繋がる「出雲系」の神々を国津神という。と記している。
ところが具体例を見ると以下のように記述されている。
天津神:
伊弉諾尊・伊弉冉尊、火之迦具土、建御雷之男、豊宇気毘売、底津綿津見、
底筒之男、天照大神、素戔嗚尊、多紀理毘売ら、天忍穂耳、天穂日、天児屋、経津主
邇邇芸命、賀茂建角身、など。
国津神:
大綿津見、大山津見、櫛名田比売、五十猛、大年、宇迦之御魂、大国主、事代主
大山咋、建御名方、木花之佐久夜毘売など。
分かり難いのは、大綿津見・大山津見は記紀ではイザナミ・イザナギの子供である。
素戔嗚尊の子供である多紀理毘売ら宗像三神は「天神」であるのにそれ以外の子供は「地祇」である。
「令義解」という本によれば「天神」には「伊勢・山代鴨、住吉、出雲国造斎神」。「地祇」には「大神(おおみわ)・大倭(おおやまと)・葛木鴨・出雲大汝(おおなむち)神」となっている。
ここで出雲国造斎神とは出雲熊野神社の「素戔嗚尊」であるとし、出雲大汝神とは出雲大社の大国主のこととしている。(以上「日本の神々の事典」より)これで大雑把には理解できるとしたのであろうか。
出雲の神々は現在も日本全国で祀られている。日本の神社の中で、現在は、その数では地祇である「宇迦之御魂神」を祭神とする稲荷神社が断然トップである。
大国主命・大年神・大山咋などなども根強い人気がある。やはり問題は「素戔嗚尊」である。一般的には出雲の神様である。でもこの神様だけは何故か天神系なのである。但し、高天原を追放された天神という扱いに記紀ではなっている。