6世紀の古墳
昭和58~59年に発掘された王墓山古墳の石室内から出土した遺物です。金銅製冠帽(ぼうし)、銀象嵌入鉄刀(銀の模様が入った刀)をはじめ、たくさんの馬具(馬飾り)、武具、玉類、土器類などが、ほぼ埋葬された当時の状態で出土しました。金銅製冠帽は冠と帽子の両方の性格を持ったもので、儀礼などに用いられていました。冠帽の周囲は5本の立飾りと無数の歩揺で装飾されていて、全体に渡金されています。国内では出土例がなく、朝鮮半島からの渡来品と考えられています。金銅製冠帽と銀象嵌入鉄刀は、市指定文化財となっています。
古墳の被葬者であるが、副葬品のなかに朝鮮半島製の金銅製冠帽や装身具、鉄地金銅張りの馬具がたくさん見られたこと、また、鉄製品や須恵器類など桁違いの数を誇ることなどから、この地で巨大な権力を振るい、瀬戸内海を通じ朝鮮半島や九州など他の先進地域とも活発に交流をはかる大きな文化圏の中心に坐っていた人物であったことが十分に想像される。(石屋形を有する横穴式石室は、6世紀前期頃から肥後地方の菊池川流域と白川流域に集中して設けられ両地域内に40例以上が分布している)