風土記の作成の命令
『続日本紀』同年五月甲子条によれば、
五月甲子。制。畿内七道諸国。郡郷名著二好字一。其郡内所レ生。銀・銅・彩色・草・木・禽獣・魚・
虫等物。具録二色目一。及土地沃塉。山川原野名号所由。又古老相伝旧聞異事。載二于史籍一亦宜言上。
とあり、ここに命じられているのは、
1郡郷の地名には好字(嘉字)を付ける、
2郡内の産物について の目録、3土地の肥沃状態、
4山川原野の名称の由来、
5古老が伝える旧聞異事(伝承)
について文書 に記し、言上報告せよとある。
古代において、王が土地の由来を「知」ることは、まさに「治」ること に通じ、統治することと同義であった。このように畿内七道諸国全国に命じた風土記の編纂であった。
奈良時代の風土記として現在に伝わっているものは、出雲・常陸・豊後・肥前と播磨の計五国しかなく、 他の諸国は逸文を残すのみとなっている