天皇、和風諡号、イミナ、諱

和風諡号(国風諡号)を奉る制度は、記録に残る限り、持統天皇が最初であり、それ以前にはない(『続日本紀』の大宝三年(BC703年)十二月十七日、持統天皇の火葬の際に「日本根子天之広野日女」と奉ったとある)。先帝の崩御後に行われる葬送儀礼=殯(もがり)の一環として行われた。殯の場では、先帝の血筋が正しく継承されたものであることやその正当性を賞揚するとともに、合わせて先帝に和風諡号を贈ったのである。

神武天皇「神日本磐余彦」(かむやまといわれひこ)から天武天皇「天渟中原瀛真人」(あめのぬなはらおきのまひと)までの名前も、慣例的に和風諡号とよんでいるが、実際に諡号だったわけではない。特に15代応神天皇から26代継体天皇までの名は、22代をのぞき多くの研究者により諱(いみな=実名)と考えられている。

諡号には「ヤマトネコ」「タラシヒコ」のように同じ称を持つものがある。例えば、まだ諡号がなかった時代の7代孝霊、8代孝元、9代開化の諸天皇は「ヤマトネコ」の称を、12代景行、13代成務、14代仲哀の諸天皇は「タラシヒコ」の称をもっているが、これらの称はずっと下って7世紀の初めに実在した天皇の諡号にも見られ、後世の諡号を遡って付けた可能性が提示されている。この外には「ワケ」「イリ」の称を共通に持っている天皇のグループがある。これらは同じ王朝を示す称であると推測する説もある。

01,神武,神倭伊波毘古、神日本磐余彦・カムヤマトイワレヒコ,畝傍橿原宮,  - 彦火火出見,若御毛沼、始馭ニ天下_之天皇
02,綏靖,神沼河耳、神淳名川耳 ・カムヌナカワミミ    ,葛城高丘宮,  - 建沼河耳。
03,安寧,師木津日子玉手見、磯城津彦玉手看・シキツヒコタマテミ,片塩浮穴宮,  - 師木津日子玉手見。
04,懿徳,大倭日子{金且}友、大日本彦耜友・オオヤマトヒコスキトモ,軽曲峡宮,-。
05,孝昭,御真津日子訶恵志泥、観松彦香植稲・ミマツヒコカエシネ ,掖上池心宮,  -  。
06,孝安,大倭帯日子押人、日本足彦国押人・ヤマトタラシヒコクニオシヒト ,室秋津島宮,  - 。
07,孝霊,大倭根子日子賦斗邇、大日本根子彦太瓊・オオヤマトネコヒコフトクニ,黒田廬戸宮,  - 。
08,孝元,大倭根子日子国玖琉、大日本根子彦国牽・オオヤマトネコヒコクニククル,軽境原宮,  - 。
09,開化,若倭根子日子大毘毘、稚日本根子彦大日日・ワカヤマトネコヒコオオヒヒ,春日卒川宮,  -。
10,崇神,御真木入日子印惠、御間城入彦五十瓊植・ミマキイリヒコイ(ソ)ニエ,磯城瑞籬宮,  - 御肇国天皇・ハツクニシラススメラミコト。
11,垂仁,伊玖米伊理毘古伊佐知、活目入彦五十狭茅・イクメイリヒコイサチ ,纏向珠城宮,  -伊久米入日子伊沙知・イリメイリヒコイサチ。
12,景行,大帯日子淤斯呂和気、大足彦忍代別・オオタラシヒコオシロワケ ,纏向日代宮・泳宮,。
13,成務,若帯日子    、稚足彦・ワカタラシヒコ        ,近江志賀高穴穂宮,。
14,仲哀,帯中津日子   、足仲彦・タラシナカツヒコ       ,穴門豊浦宮・気比宮(行宮)。
(15),神功,気長足姫、   ・オキナガタラシヒメ    ,大和磐余若桜宮,。
15,応神,品陀和気 、誉田ホムタ,去来紗別イザサワケ   ,大和軽島豊明宮・吉野宮(行宮)。
16,仁徳,大雀   、大鷦鷯・オオサザキ        ,難波高津宮。
17,履中,伊邪本和気、(大兄)去来穂別・(オオエノ)イザホワケ,大和磐余稚桜宮。-伊弉本別
18,反正,水歯別  、(多遅比)瑞歯別・(タジヒノ)ミズハワケ ,河内丹比柴籬宮。
19,允恭,男浅津間若子宿祢、雄朝津間稚子宿禰・オアサツマワクコ,遠飛鳥宮・河内茅渟宮。
20,安康,穴穂御子   、穴穂・アナホ ,石上穴穂宮。??,木梨軽皇子,
21,雄略,大長谷若建、大泊瀬幼武・オオハツセワカタケ ,泊瀬朝倉宮。
22,清寧,白髪大倭根子、・シラニノオホヤマトネコ,大和磐余甕栗宮・大和葛城角刺宮,  - 白髪武広国押稚日本根子
??,[飯豊皇女, ,いいと(ど)よ,(臨朝秉政みかどまつりごと):忍海角刺宮。]
23,顕崇,石巣別   、弘計王・ヲケ         ,近飛鳥八釣宮,  - 来目稚子袁祁石巣別・クメノワクゴオケイワスワケ。
24,仁賢,意祁    、億計王・オケ         ,石上広高宮,  - 大脚・オオシ。
25,武烈,小長谷若雀、小泊瀬稚鷦鷯尊・オハツセノカワササギ,泊瀬列城宮。
26,継体,袁本杼、男大迹王・オホド,河内楠葉・山城筒城・山城弟国・大和磐余玉穂宮。
27,安閑,広国押武金日命 、勾大兄皇子・マガリノオオエ ,大和勾金橋宮。
28,宜化,建小広国押楯、武小広国押盾尊・タケオヒロクニオシタテ,大和檜隈慮入野宮,  - 檜隈高田皇子・ヒノクマタカダ。
29,欽明,天国押波岐広庭、天国排開広庭命・オシハルキヒロニワ, 大和磯城島金刺宮・難波祝津宮(行宮),磯城嶋天皇。(古事記:師木嶋大宮)
30,敏達,沼名倉太玉敷 、渟中倉太珠敷尊・ヌナクラノフトタマシキ ,百済大井宮・大和譯語田幸玉宮。 - 譯語田天皇・オサダ。
31,用明,橘豊日尊 、・タチバナノトヨヒ        ,磐余池辺雙槻宮,  - 大兄皇子,池辺天皇。
32,崇峻,長谷部若雀、・ハツセベノワカササギ、泊瀬部皇子 ,大和倉梯柴垣宮,  - ・,倉橋天皇。 -592.11.03,東漢直駒に暗殺される。
33,推古,豊御食炊屋姫、・トヨミケカシキヤ、額田部皇女・ヌカタベ, 飛鳥豊浦・小墾田・海石榴市(別宮)・耳成(別宮)。 -
??,[聖徳太子(593-,600-?)、廐戸皇子・うまやどのみこ,:斑鳩宮。]  -上宮王・うえみやのおおきみ(かみつみやの),豊聰耳命・太子膳死?。
34,舒明,田村皇子・タムラ         ,飛鳥岡本・飛鳥田中・百済宮,  - 息長足日広額・オキナガタラシヒロヌカ。
35,皇極,宝皇女・タカラ   ,小墾田・飛鳥板葺(蓋)・川原・後飛鳥岡本(別宮),  - 天豊財重日足姫・アメトヨタカライカシヒタラシ,飛鳥天皇。
36,孝徳,軽皇子・カル,難波長柄豊崎・長柄豊崎宮・(別宮:味経宮,蝦蟇宮,子代宮)  - 天万豊日・アメヨロズトヨヒ。
37,斎明,額田部       ,飛鳥板蓋・飛鳥川原・飛鳥後岡本・両槻・吉野。  - 皇極重祚。
38,天智,天命開別・アメミコトヒラカスワケ,筑前磐瀬行宮・朝倉行宮・滋賀大津宮。  - 中大兄皇子。
39,弘文,大友皇子    ,近江滋賀大津宮。  - 伊賀皇子(大日本史で淡海廃帝、明治3弘文)。
40,天武,大海皇子         ,飛鳥浄御原宮・(行宮:廣瀬野,不破),  - 天渟中原瀛真人・アメノヌナハラオキノマヒト。
41,持統,鵜野讃良皇女・ウノサララ ,難波宮・大和藤井原藤原宮,(諡=元明詔で藤原宮御宇倭根子天皇)-高天原広野姫・タカマノハラヒロノ。
42,文武,軽(珂瑠)皇子       ,藤原宮・薬園(別宮)  - 倭根子豊祖父天皇・ヤマトネコトヨオオジ。
43,元明,阿閇皇女・アベ      ,大和平城京・藤原宮,  - 日本根子天津御代豊国成姫天皇・ヤマトネコアマツミシロトヨクニナリ。
44,元正,氷高内親王        ,平城宮・多芸行宮・竹原別宮,  - 日本根子高瑞浄足姫天皇・ヤマトネコタカミズキヨタラシ。
45,聖武,首皇子・オビト,平城宮・竹原井・大養徳恭仁・近江柴香楽・難波・河口・雑賀-天璽国押開豊桜彦・アメシルシクニオシヒラキトヨサクラヒコ
46,孝謙,阿倍内親王     ,平城宮・田村宮・(行宮:竹原井,保良,由義),  - 高野天皇、宝字称徳孝謙皇帝。