多氏、意富氏、大生神社、多神社、大井神社

多氏
大分君、阿蘇君などと共に神八井耳命を祖と仰ぐ同族
【古事記】多(意富、大生)氏の同族: 意富臣、小子部連、坂井部連、火君、大分君、阿蘇君、筑紫の三家連、雀部臣、雀部造、小長谷造、都祁直、伊予国造、科野国造、陸奥の石城国造、常道(ひたち)の仲国造、長狭国造、伊勢の船木直、尾張の丹羽臣、島田臣ら19氏

神八井命:かむやいのみこと
神武天皇の御子。第二代・綏靖天皇の兄。阿蘇の開拓神・健磐龍命の父。
『古事記』によると、神武天皇は即位して伊須気余理比売命と結婚され、 日子八井命、神八井耳命、神沼河耳命(のちの綏靖天皇)の三柱の御子をもうけられた。
『日本書紀』には、日子八井命は登場せず、媛蹈鞴五十鈴媛との間に、神八井命、神渟名川耳尊のみが生まれたとある。 『先代旧事本紀』には、日子八井命は弟・神八井耳命の御子とある。
神八井耳命と神沼河耳命の兄弟が、腹違いの兄・多芸志美美命を殺し、 その時、神八井耳命は臆したため、弟の神沼河耳命が皇位を継いだ。
神八井耳命は、「我は兄なれども、上位に立つべきにあらず。汝が天下を治めせよ。我は汝を扶けて忌人ととなりて仕えよう」と申され

印波国造
15応神 千葉県印旛 下総国印旛 神八井耳命の八世孫
伊都許利命 神八井耳命(意富臣祖)

仲国造
13成務 茨城県那珂 常陸国那珂 伊予国造と同祖
建借馬命 建借間命
常陸国風土記
崇神の世、賊を平けむ
夜尺斯・夜筑斯、杵島唱曲

科野国造
10崇神 長野県 信濃国 神八井耳命の孫
建五百建命 敷桁彦命の子 建磐龍命

伊予国造
13成務 愛媛県 伊予国 印旛国造の同祖
敷桁波命の兒 速後上命はやのちあかり

火国造
10崇神 熊本県 肥前、肥後 大分国造の同祖
志貴多奈彦命兒
遅男江命ちおえ 志貴多奈彦は
建敷桁波命と同一か?
姓氏辞書
豊後(多臣族)大分国は 後の大分郡の地方である。
建緒組命

阿蘇国造
10崇神 熊本県阿蘇 肥後国阿蘇 火国造の同祖
神八井耳命の孫 速瓶玉命

【常陸国風土記】 
神八井耳命の子孫、建借間命(伊予国造と同祖)の国栖討伐
やまとたけるの食事を煮炊きする小屋をかまえた所
建借間命の軍勢が、故郷肥前国杵島山の歌『杵島唱曲(きしまのうたぶり)』を7日7夜歌い、賊を油断させいっきに滅ぼした。『あられふる杵島が山を峻しみと、草採りかねて、妹が手を執る』“あられふる”は常陸鹿島の枕詞となっているが、肥前杵島の枕詞でもある。
大炊(飯)の意味をとって、大生の村となずけた。
大生神社の氏子たちは、鹿島神宮はここから移されたものと信じ、大生神社を元鹿島の名でよぶ。
鹿島神宮の代々神職をつとめる東家の文書に、大生神社は南都大生邑(多村)から移されたとある。
大和多神社の神主は多朝臣と肥直となっている。

疑問点
1 古事記には火の君、大分の君、阿蘇の君とあり国造となっていないが、
国造本紀では、国造の表現になっている。大分国造は具体的に表記されていない。
2 古事記の国造としては、伊予、科野、道奥石城、常道仲、長狭とあるが、
長狭国造は表記されていない。道奥石城国造もない。石城国造は天津日子根系建許呂である。
3 建借馬は、意富、多族を率いて、九州からやってきたことが推測できる。

茨城県那珂郡飯富村(水戸市飯富町)
【和名抄】大井郷→【元禄郷帳】大部村
大井神社はもと仲国造の建借間命を祀っていたが、鹿島神を祀るようになった。『大日本神名辞書』では、建借馬命は、神八井耳命の後裔

千葉県袖ヶ浦市飯富
神八井耳命をまつる式内社飫富神社(現在の飯富神社)

富士川を遡った山梨県南巨摩郡中富町飯富
以前は“オウ” と呼ばれた地名、甲斐の飫富氏は多氏の末裔

『日本書紀』宣化天皇元(536)年、天皇は自ら阿蘇仍君を遣わして河内国茨田郡の屯倉の穀を筑前那の津まで運ばせた
「姓氏録」 茨田宿禰 多朝臣同祖 彦八耳命之後也。 茨田勝ハ呉国王孫皓ノ後、意富加牟枳君より出

讃岐国大内郡白鳥郷
『政事要略』『朝野群載』『平安遺文』
承平五年(935)六月十三日の太政官符に弾正少疏大初位下阿蘇公広遠の調を免除する(広遠が三年前に出した解状では、白鳥郷の戸主阿蘇豊成の戸口)とある。天暦五年(951)には左大史正六位上阿蘇宿祢広遠、正暦年間(とくに991~994)の右少史として阿蘇有隣が見える。
讃岐ではほかにも寛弘元年(1004)の同国大内郡入野郷の戸籍(『平安遺文』)に戸主阿蘇氏宗(姓は不明)、同貞町、同中知など十八名の名前が見える。

伊豫國伊豫郡 国造本紀【予章記】
「国造本紀」 神八井耳命の子孫、速後上命(はやのちあがりのみこと)、成務天皇の時代に伊予国造に任命
伊予神社(伊予市): 月夜見尊 愛比賣命 神八井耳命 速後上命
伊予神社(松前町): 彦狹嶋命 配祀 愛比賣命 伊予津彦命 伊予津姫命 大日本根子彦太瓊尊、細媛命 速後神命 伊予親王 藤原吉子