リビアにミサイル攻撃:石油とアルカイダ?

地震と津波による被害の後、福島原発の放射能漏れ・計画停電がはじまり、こんどは原油高が始まった。日本経済はこれら3重苦からの再出発であり、どれもすぐには収束しそうもない長期戦です。
CNNは、米英がリビア西部の軍事施設に19日、米英軍の艦船や潜水艦から110発以上の巡航ミサイル「トマホーク」を撃ち込みました。これに先立ち、リビア上空に展開するフランスの戦闘機が、カダフィ政権側の軍車両を攻撃していた
1.ミサイルはリビアの首都トリポリとカダフィ大佐の出身地ミスラタ近郊の防空システムなど20カ所に命中
2.目的はリビア政権による自国民への武力行使を阻止すること
3.オバマ大統領は、国防総省は陸上に軍を展開させる予定はないと繰り返した
4.カダフィ大佐は20日早朝、国営テレビを通し、攻撃を「むき出しの侵略行為」と非難したうえで、リビアの自衛権を主張。国民が武装できるよう武器庫を開放したと語った
世界は、このニュースで一色である。
これまでに石油需給のひっ迫をみた先物価格の上昇、真偽は定かでないがリビア反政府勢力へのアルカイダ関与などが報道されている。

12 thoughts on “リビアにミサイル攻撃:石油とアルカイダ?

  1. 歴史:リビアとは

    7世紀にアラブ人のウマイヤ朝に征服され、イスラム教が広がった。オスマン帝国属領時代を経て、20世紀初頭の伊土戦争により、1911年にはイタリアがリビアを植民地化。1949年に旧イタリア領リビアが独立。独立時の人口は約100万人。独立後、イドリース1世は親欧米政策を採り、1955年から国際石油資本によって石油開発が進められた。高まる汎アラブ主義の波に王政は対応できず、石油収入も大多数の国民には還元されなかった。1969年9月1日、ナセル主義者だった27歳のカダフィ大尉と同志の青年将校たちによるクーデターにより、トルコに滞在中だった国王イドリース1世は退位し、現在のカダフィ大佐を事実上の元首とするリビア・アラブ共和国が成立。
    1969年の革命後に石油は国有化
    1992年から1999年まで国際連合の経済制裁(リビア政府が起こしたパンナム機爆破事件による)
    2001年の同時多発テロ事件以降は一転してアメリカと協調路線をとる一方、成果を出せない親アラブ外交から親アフリカ外交へとシフト
    2006年5月15日 アメリカはリビアとの国交正常化
    2011年3月、米仏軍が宣戦布告を行わずにリビアを奇襲、空爆とミサイル攻撃により各地の施設が破壊された。一般市民の死者数は2011年3月20日現在48名である
    2010年のリビアの一人当たりGDPは12,062ドル(US$)と豊か。エジプトの5倍。人口は642万人。
    石油の埋蔵量はアフリカ最大といわれている。輸出の大部分が石油で、貿易黒字を維持するために輸出量は調節している。リビアは石油が豊富でありながらも人口が少ないために、一人当たりのGDPはアフリカで最上位クラスの比較的裕福な国。

  2. リビアと石油

    南米ベネズエラの反米左派チャベス大統領は19日、対リビア攻撃を開始した欧米諸国を「リビアの石油が欲しいだけで、国民の命など気にしていない」と非難した。
    チャベス氏は「(軍事介入に参加した国々は)無責任な戦争屋だ」と糾弾。「資本主義の手で爆弾が落とされ、戦争が起き、人々がさらに苦しむことになる」と述べ、武力行使に正当性はないと主張。
    リビアは、ナイジェリアに次ぐアフリカの産油国(原油埋蔵量は360 億バーレル)
    リビア国の原油の生産量は120~145 万バーレル。100 万~120 万バーレルは海外に輸出。の輸出先は主としてヨーロッパであり、現状日本への輸出は無い。
    3月21日(ブルームバーグ):ニューヨーク原油先物相場は21日の時間外取引で大幅高。リビア国内の戦闘激化で原油供給量が減少する中で、リビア空爆が上げ材料となった。 ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物4月限は一時2.12ドル高の1バレル当たり103.19ドル
    リビア国営石油(NOC)のショクリ・ガネム会長は19日、同国の石油生産が日量40万バレル未満と、危機前の約4分の1まで減少していることを明らかにした。
    外国企業が生産を停止したためにリビアの石油生産量が2割以上減り、中東の政治危機が石油危機に発展する恐れが生じている

  3. 内紛と石油

    2011.03.14
    リビア政府軍が猛攻、石油輸出拠点など奪還を宣言
    米テロ監視組織SITEは13日、国際テロ組織アルカイダの指導者がリビア国民に対し、カダフィ大佐に対する武装蜂起を呼び掛けたとする映像を公表した。カダフィ大佐はこれまで何度も、反体制派の背後にはアルカイダがいると主張していた。

  4. アルカイダが首長国?

    2011.2.24
    フランス通信(AFP)は2月23日、リビア副外相の情報として、同国北東部デルナに、国際テロ組織、アルカーイダのメンバーらが「イスラム首長国」を樹立したと報道した。副外相がトリポリに滞在する欧州各国の大使らに伝達したという。詳細は明らかではない。

  5. アルカイダが首長国?

    リビアの首都トリポリでは、反体制派をアルカイダと決め付け、内戦状態に陥ったのは米国のたくらみだとする陰謀説を、若者が口々に主張する。
    「外部勢力」の暗躍を特徴とする陰謀史観はアラブ世界に流布しているが、リビアでは荒唐無稽ぶりが際立っている??
    反体制運動にアルカイダが関わったことを示す証拠はなく、語られる陰謀説は最高指導者カダフィ大佐の演説などの受け売り。米国の介入への警戒心は若者に共通。

  6. 石油を狙うアルカイダ

    1年前のニュース2010年03月25日
    サウジアラビア内務省は24日、国内の石油施設などへの攻撃を企てていたとして、国際テロ組織アルカイダ系武装勢力のメンバー113人の身柄を拘束したと発表した。拘束の日時や場所については明らかにしていない。
    また、2010年11月3日 イエメン南部で2日(現地時間)、韓国石油公社が運営するパイプラインが アルカイダ と推定される勢力によって爆破されたと、AFP通信など海外メディアが一斉に報じている。

  7. AQIM

    北アフリカで展開するアルカイダ・イン・ザ・イスラミック・マグレブ(AQIM)
    声明で、カダフィ大佐がアフリカの傭兵を雇い、軍用機にデモ隊への攻撃を命じたとして大佐を非難した。AQIMはまた、イスラム聖職者、思想家、ジャーナリストに対し、リビアの民衆蜂起を支持するよう求めた。
    AQIMの声明は「われわれは、カダフィ氏の圧制を終わらせようとしたにすぎない市民や非武装のイスラム教徒に対し、同氏が行った卑劣な殺りく行為を腹立たしく思っている」とし、「われわれはリビアのイスラム教徒に対し、確固たる信念を持って耐えることを呼び掛ける。われわれは彼らが戦いと変革を継続し、犯罪者である暴君の追放に至るよう、彼らを鼓舞する」としている。

  8. アラブ連盟が変わる?

    エジプトが革命のさなか、アルジェリアも大幅に影響力を失い、シリアは孤立している。
    となると、サウディ等の湾岸諸国の意見が通るようになるでしょう。アラブ連盟の主張は保守的になり、民主化の動きが遅れることにになる???

  9. アラブ連盟が変わる?

    中東の独裁者たちは、サウジアラビアも含め、スンナ派のタリバン、シーア派のイランイスラム法学者集団などイスラム原理主義集団が台頭すると、自分たちの軍部独裁・王制独裁が倒されるので、イスラム原理主義を警戒、できれば抹殺したいと考える。

  10. 多国籍軍とNATO

    多国籍軍によるリビア攻撃について、オバマ米大統領は22日、サルコジ仏大統領、キャメロン英首相とそれぞれ電話で協議し、作戦遂行では、北大西洋条約機構(NATO)の指揮系統が役割を果たすとの認識で一致。指揮権の主導を巡る対立は解消されなかったが、仏側は、指揮系統の上部機関として、作戦参加国全体による「政治的決定機関」(仮称)の設置を提唱した。オバマ大統領は同日の記者会見で、近日中に飛行禁止空域の範囲を確保するとの見通しを明らかにしたが、指揮権については「多国籍軍に移行することができる」と述べるにとどまり、関係国の対立が続いていることをうかがわせた。

  11. ロシアが批判

    3月22日 8時58分
    ロシアのプーチン首相は21日、軍事行動を容認した国連安全保障理事会の決議には欠陥があると指摘し、「主権国家に対してどのような行動を取っても許されることが明らかになった」と述べて批判しました。
    そして、「イスラム教徒を攻撃した中世の十字軍を思い起こさせる」と述べた。