WEB寓話:狼少年、赤頭巾ちゃん、そして動物農場-ネット社会は暴走するか?

イソップ童話の狼少年はうそつきでした。「羊飼いと狼」 という話です。
いつも一人ぼっちで淋しいので、狼が来たぞ~と叫ぶと大勢のひとが驚き駆けつけてくるので、面白くなって、何度も、狼が来なくても、叫ぶようになる。村人はそのうち、また「嘘つきが・・」と考えて、こなくなる。最後に、本当の狼がやってきて、かわいそうに、羊飼いの少年は食べられてしまったという怖い話でした。

狼少年は、淘汰されるか

 WEBの世界では、このようなことが、あるだろうか。
たしかに、情報過多なので、注目して欲しいために、過大な広告や宣伝が起こり易いし、刺激的な記事を捏造するような困った事態もあるようだ。しかしながら、検索やマッチングの技術が進歩してくると、客観的なKPI(キーパー・フォーマンス・インディケーター)が導入されて、お騒がせは減少するように思える。
 例えば、価格ドットコムなどの比較サイトも登場したし、Google PageRank なども客観的と思える。サイト解析の技術も進み、人気やアクセスのプロセスもDB化され、本当に価値のあるコンテンツが提供されているかの評価も進歩している。だから、1ページ1ページのコンテンツが重要となってきている。最近は、RSSやトラックバックも普及し、ネット内の関係付けが容易になるとともに、関連付けの技術も進歩し、WEBの設計に生かせるようになってきた。
 楽観的かもしれないが、狼少年は流行らなくなってきたのではなかろうか。
怖い赤頭巾ちゃんの狼
 もう一つの狼の話が、グリム童話にある。グリム童話は、本質をついた怖いはなしが多いが、WEBの世界でも困った狼である。赤頭巾ちゃんに化けたは、まさに「なりすまし」の狼であり、実際の経済被害も甚大である。ホームページの入力画面のなりすまし、個人情報を盗用したなりすましなど手口が巧妙であり、このような事案は、対処が難しい。
 銀行ATMの「なりすまし」による口座間資金移動の話で一時話題となったが、この対策としては「リッチな関連付け技術」が役に立つ。実際、銀行では、手のひらの静脈情報も加えて、パスワードなどと関連付けて、真正性(セキュリティ)を高めようとしている。
 IT技術が進むと、メディアやOS依存から開放されるので、携帯でアクセスして何かできるなど犯罪の可能性が高まる一方で、リッチな関連付けによって、防止できる可能性も高い。
例えば Google AdWordsでお客の場所指定:地理情報と関連付け が可能となっている。Googleのキーワード広告であるAdWordsは、国や言語にターゲットを分けて広告を配信することが可能だ。さらに、緯度と経度を入力し、地図上の座標を決められるようになった。この機能など使えば、一定のエリア内の端末からのアクセスか否かもわかるのでAdWordsは自動的にキーワードを検索したひとの居場所を判別し、所在を確認した上で取引を行うことも可能になるのではないか。
 ありえない場所からの取引を制限できれば被害も減るであろうし、ダイナミカルな購買履歴から異常を検知することもDBを使えばかのうである。だから、このあたりは、なりすまし対リッチな関連付けによる異常検知のセキュリティの向上しだいであるが、後者を期待したい。Google や skype の APIの活用がセキュリティの向上策になると期待している。
動物農場(アニマルファーム)化するか
半世紀前にジョージ・オーウェルは、動物農場という怖い寓話をかいた。理想社会を求めて動物が人間に反乱し、共産社会を実現しようとして破滅する話である。
イギリス、マナー農場の家畜たちが、ある日団結して人間を追い出し、自立的な動物農場を作り、人間とは一切縁を断った自活的な生活を始める。
そのときの戒律は
1、二本足で立つものはすべて敵である
2、四本足で歩くもの、もしくは翼を持つものはすべて味方である。
3、いかなる動物も衣服を身につけるべからず。
4、いかなる動物もベッドに寝るべからず。
5、いかなる動物もアルコールを飲むべからず。
6、いかなる動物もほかの動物を殺すべからず。
7、すべての動物は平等である。
である。一見、動物にとって理想の掟であったが、最後に腐った専制主義に陥る寓話 である。
 ネット社会も、法の範囲内での、自由と平等の謳歌する世界である。
しかしながら、最近はテロや金融犯罪の激化などから、高度監視社会になりつつあるようにも思える。
 オーウェルは、ビッグ・ブラザーに監視された社会の姿を描いている。
 1984年、世界は三つの超大国に分割されていた。その一つ、オセアニア国では<偉大な兄弟>に指導される政府が全体主義体制を確立し、思想や言語からセックスにいたるすべての人間性を完全な管理下に置いていた。非人間的な体制に反発した真理省のウィンストンは、思想警察の厳重な監視をかいくぐり、禁止されていた日記を密かにつけはじめるが・・・その結末はみてのお楽しみです。
 現在のネット社会のルールは、おもわぬパラドックスを生み出すかもしれない。民主主義の原理はしばしば解決不能の事態をまねくこともよく知られているが、それに替わる監視・検閲社会よりはずっと良い果実をもたらしてくれる。
 動物農場にならぬよう、逐次修正・フィードバックを続けて安定化させたいものである。最近では、アジアの経済危機やソビエトの崩壊など英知に期待した合理的(と思った)統制社会よりはデモクラシーによる自由市場のほうが(リスクもあるが)より良いようだ。
 ただ、ネットの爆発的利用のマイナス面も成長している。
ビッグマザーが登場するか。
Google API など 2005年の話題 

One thought on “WEB寓話:狼少年、赤頭巾ちゃん、そして動物農場-ネット社会は暴走するか?

コメントを残す